18年後に気付いたプレゼント、先生がくれた本の中にお菓子が隠れていた。

2011/07/11 16:09 Written by Narinari.com編集部

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大人になって過去を振り返ったときに、何でも相談できた親友や恋の相手など、学生時代の思い出として心に残っている存在がいる人も多いことだろう。ある英国の男性の場合、その1人が先生だった。男性がまだ11歳の少年だった頃のある日、先生からこれを読みなさいと2冊の本を渡されたそう。ところが全く読む気がなかった少年は本を開くことなく戸棚へしまい込み、そのまま18年間が経過してしまった。実はこの本、先生からのちょっとしたプレゼントが仕込まれていたのだが……。

このエピソードを明かしたのは、英国各地を巡って地元の人たちが持つアンティークな品々を紹介する英放送局BBCの番組「Antiques Roadshow」に出演したマーク・ジェームズさんとアレクサンドラさんの夫妻。彼らが紹介したのは、くり抜かれた本の中に詰め込まれた、数種類のチョコレート菓子だった。商品の名前ははっきりと分かるものの、包装紙は傷や色あせも見られるなど、かなりの時間の経過を感じさせる年代物。それもそのはず、これは40年以上も前のチョコレート菓子だからだ。番組では、なぜ大切にしているのかについて理由が語られたが、そのエピソードは英メディアで広く紹介されることになった。

話は今から44年前の1967年までさかのぼる。英南部ファーナムにある学校に通っていた11歳のジェームズ少年は、ある日「休日の読書に」(英紙メトロより)と、先生から2冊の本を渡された。それらは11歳の少年にしてみればいささか大きく、厚めの本。受け取ってはみたものの、どちらの本も全く読む気が起きなかったジェームズ少年は、家に持ち帰ると1ページも開くことなく、本を戸棚へ入れてしまったという。結局、本は忘れ去られたまま時間だけが経過。先生はリアクションがないことに悶々としながらも、特にその後、少年と本について話すこともなかったようだ。

それから18年が経った1985年、すっかり大人の男性に成長したジェームズさんは、2歳年下のアレクサンドラさんと結婚し、2人は引っ越しのためにジェームズさんの家を掃除していた。すると、アレクサンドラさんが戸棚の中から本を発見。中を開くとそこにはくり抜かれた中心部に、いくつものお菓子が入っていた。この本は何なのかと、彼女がたずねると、ジェームズさんはうろ覚えながらも「昔、先生にもらった本だ」と思い出したという。

このお菓子は先生の厚意だったのでは――と察知したアレクサンドラさんは、夫に本をくれた先生の捜索を開始。すると、見事に退職した先生の所在を突き止め、挨拶に出向いた。彼女が名前を告げて夫の名前を持ち出すと、先生は「このときをずっと待っていたよ」(英紙サンより)と一言。長い時間がかかったとはいえ、当時、一生懸命仕込んだプレゼントに気付いてもらえたことが嬉しかったようだ。その様子を見てアレクサンドラさんは、「先生はこれを作るのに多くの時間を費やしたはず。彼は夫のことがとても好きだったのよ」(デイリー・メール紙より)と感じたそう。

それからさらに20年あまりの月日が流れ、再び引っ越しの機会が訪れたジェームズ夫妻は、また忘れ去られていたこの本を見つけ出したようだ。今回、番組で紹介したことで英国に広く知れ渡ったこの本の存在は、さすがにもう忘れられないはず。先生の力作は、結果的には少年の読む気のなさが功を奏したと言えるのか、単なる“チョコレートのお菓子のプレゼント”を超えた価値を生み出している。

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