困った人に“ピザ寄付”サイト、希望者の理由に納得なら販売店に注文。

2011/07/07 15:08 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


米国でポピュラーな食べ物の1つであるピザだが、さまざまな事情でなかなか口にできない市民も不況下の米国では少なくない。そこでテキサス州の男性はソーシャルニュースサイト「reddit」を利用した、メッセージが飛び交う簡素な作りの寄付仲介サイトを開設した。ここで寄付をお願いできるのはただ一つ、ピザのみだ。

ピザ寄付サイト「Random Acts of Pizza」の開設メンバーの1人が、テキサス州のダニエル・ロジャースさん。彼がこのアイデアを思いついたのは、「失業中だった」(米放送局ABCより)という1年前のことだった。仕事がない毎日に「社会との断絶を感じた」ロジャースさんは、気分も落ち込む日々を過ごしていたそう。そのとき、見知らぬ人同士との繋がりを持つにはどうしたら良いかと考えた彼の頭に閃いたのがピザだった。米国の人気食であるピザを寄付するサイトを作り、人々が繋がりを感じられれば「少しは気分が良くなるかもしれない」(米紙デザレット・ニュースより)と考えたという。

サイト上では、ピザを寄付して欲しい人や寄付したい人が最初のメッセージを掲載。それに興味を持った人たちでやり取りが始まり、寄付したい人が納得すればピザの販売店に注文を出すそうだ。また、サイト上では各ピザチェーン店のクーポンやギフトカードのリンクも用意し、相手が「遠い場所に住んでいる場合」などにはカードの寄付も提案している。

アイデアを思い付いた頃のロジャースさんと同様、ここにピザを求める人の多くは生活が苦しいようで、サイト上には十人十色の人生模様が並んでいる状況だ。夫の誕生日ながらお金に余裕がなく、「ディナーで驚かせたい」(ABCより)と希望する女性や、11か月失業中ながらプライドにかけて手当をもらわず苦しんでいる人も。それぞれにさまざまな事情で“温かいピザ”を目にしたい、食べたいという人の切実な願いが数多く寄せられている。

しかし、寄付してもらえるかどうかは見えない相手を納得させられるか次第。そのハードルを乗り越えて実際に寄付を受けた人にとって、届いたピザはやはり格別の1枚になるようだ。ニューヨークで暮らすガブリエルさんという男性は仕事がいろいろ探すも、なかなか見つけられずに生活も困窮。最近は満足のいく食事も摂れず、そんなときに「Random Acts of Pizza」の存在を知り、お願いを出してみた。

すると、ガブリエルさんのメッセージを見たニューヨーク市民が注目し、「同じ街に暮らす仲間として助けなければ」と寄付に同意。ガブリエルさんは、久々のピザを堪能したという。ABCはガブリエルさんを探し出してインタビューを行うと、彼は「今まで食べた中で一番のピザだったよ」と喜びのコメント。お腹も心も、しっかり満たされたようだ。

最近では1週間に2万人超が訪れるようになっているというこのサイト。ピザを通じた米国市民の思いやりの輪は、徐々に広がりを見せている。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.