30年かけ制作したボートを泣く泣く売却、庭のスペースが空き妻は大喜び。

2011/06/15 13:16 Written by Narinari.com編集部

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以前、解雇の不安に直面したという英国の男性は、失業後のやりがいを見つけようと考えボート作りに着手した。それから自宅の裏庭でこつこつと作り続けること30年。ところが、自宅周辺に開発計画が持ち上がり、その影響でボートの解体か売却を余儀なくされる事態に直面してしまう。男性は泣く泣く地元のヨットマンへの売却を決断し、生きがいを失ってショックを受けている一方で、妻はボートが無くなった庭をどう変えていくか楽しみにしているそうだ。

ボートを作り続けたこの男性は、英東部グリムズビーに住む80歳のテッド・ラシュビーさん。英地方紙グリムズビー・テレグラフなどによると、鉄筋工の仕事をしていた30年前、彼は「解雇されるかもしれない」と不安を覚えた時期があったという。そのときラシュビーさんは、仕事を辞めたあとにできた時間は趣味に費やそうと考え、以来、彼が「人生の大きな一部」と話す、30年にもわたるボート作りが始まった。

自宅の裏庭を使い、全長36.9フィート(約11メートル)の外観部から形作られていったボート。「ロバーツ36」という船名も付けた彼は、木材や廃棄された船の部品をかき集めて加工し、組み立てる作業を日々続けた。エンジン以外は「すべて私の手作り」というだけに、作り始めてから30年経った今でもコツコツと手を加え続けていたのだが、そんな彼の生きがいが、ついに終わりのときを迎えてしまう。

今年はじめ、自宅周辺の宅地開発が決定。実際に工事が始まれば、裏庭からボートを搬送する手段が無くなるため、ずっと家に置き続けるわけにはいかなくなってしまったのだ。これにより、「ロバーツ36」を解体するか、売却するかの「辛い選択」が突きつけられた。結局、長年手塩にかけて作り上げた作品を「スクラップにするなんてとんでもない」と、苦渋の思いで売却することにしたラシュビーさんは、自慢の一品をオークションサイト「eBay」に出品。ところがそこに寄せられた申し出は、どれも彼が「満足できない」金額だったという。

すると、窮地に追い込まれた彼の事情を知った地元のヨットマン、ジェフ・ベーコンさんが“助け舟”を出した。彼の息子ジェイソンさんが、ラシュビーさんの話を知って「ボートを生かし続けるために、一緒にテッドさんを助けよう」と提案し、ベーコンさんも快諾。2人から相談を受けたラシュビーさんも“渡りに船”とばかりにこの申し出に応じ、「ロバーツ36」を2人に売ることが決まった。

そして6月10日、雨が降りしきる中でまだ未完成という「ロバーツ36」は、ラシュビーさん宅の裏庭からクレーンで釣り上げられると、トラックに積み込まれて移動。地元ヨットクラブの建物に運び込まれ、これから1か月ほどラシュビーさんとベーコンさんが最終調整を行って完成させた後、進水させる予定だという。

ラシュビーさんはようやく見えたゴールに「いい仕事をしたと思う」と自画自賛しながらも、30年続けた生きがいに終止符が打たれるとあって「寂しくなるね」とも漏らしたそう。ただし感傷に浸る夫を尻目に、裏庭をボートに占拠され続けた妻は、ようやく自分も庭を使えることに「むしろ幸せ」(英紙デイリー・メールより)を感じているらしい。

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