荒野で車動けず7週間後に救出、妻は無事も夫は助け求めに出て消息絶つ。

2011/05/10 06:47 Written by Narinari.com編集部

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3月下旬、車で米国を訪れていたカナダ人夫婦が、アイダホ州のコンビニで目撃されたのを最後に行方不明となった。3州をまたいで捜索が行われたにも関わらず、夫婦の消息は全く掴めなかったのだが、7週間が過ぎた5月6日に、ネバダ州の荒野に停まっていた車の中から妻を発見。10キロ以上体重を落としながらも、妻はわずかな食料と周辺の雪で辛うじて命を繋いでいたそうだ。

カナダ放送局CTVや米放送局ABCなどによると、行方不明から7週間後に無事発見されたのは、カナダのブリティッシュコロンビア州に住む57歳の女性、リタ・クレティエンさん。3月19日、リタさんは夫のアルバートさんと共に、南に約2,000キロ離れた米ラスベガスへ向けて車で自宅を出発した。ところが、出発したその日にオレゴン州のコンビニ防犯カメラに映っていたのを最後に、2人は消息を絶ってしまう。以後、最後に目撃されたコンビニの場所から、オレゴン、アイダホ、ネバダの3州にわたって捜索活動が展開されたが、2人を発見するには至らなかった。

後に判明した足取りによると、コンビニを出て順調に南下を続けていた夫婦に緊急事態が襲ったのは、ネバダ州に入ってすぐのこと。2人の車は、一般道を外れて荒野の泥道に進入してしまい、動けなくなったという。辺りは近くに人が全くいない荒野のど真ん中。2人は車の中で援助を待つも状況に変化はなく、立ち往生から3日後にアルバートさんが「16キロ離れた高速道路を目指して」(CBCより)外に出たそうだ。しかし、この後のアルバートさんの足取りは現在も掴めていない。

一方、車に残されたリタさんは、暖を取ろうと火を起こす努力をしたそうだが、周辺が雪で湿っていたためうまく行かず、結局車の中で丸まって寒さを凌ぐことに。冷気が入らないように窓の縁には古い電話帳を破って挟み、発見されるまでの48日間、彼女は「聖書などの本」(ABCより)を読み続けていた。食べ物は、持っていた「わずかなトレイルミックス(※ナッツ類やチョコ、レーズンなどが一緒にパッケージされているもの)」は1週間でなくなってしまい、その後は魚油の錠剤や飴、ビーフジャーキーと、雪を溶かした水を飲んで7週間耐えていたという。

この間、捜索隊は車の場所から300キロ近く離れたところを中心に活動していた。また、現場周辺は数週間悪天候が続いていた上に、地形が複雑なため、なかなか発見に至らなかったようだ。しかし5月6日、現場を通りかかったハンターが夫婦の車を発見。これによりリタさんは遭難から7週間後にようやく救出され、アイダホ州の病院に搬送された。彼女の体重は30ポンド(約13.6キロ)も落ちていたそうだが、意識ははっきりしており、診察した医師も思った以上に体調が安定した状態に「驚愕した」という。

リタさんの無事を受けて、5月8日に記者会見を開いた2人の息子レイモンドさんは、「私たちがずっと願ってきた、最高の奇跡が起きた」と喜びを語った。ただ、「でも、もう1つ」と、未だ足取りが掴めない父アルバートさんの無事も願っている。それでも会見当日はくしくも母の日、レイモンドさんは「今日ここで母と一緒に過ごせて本当に嬉しい」とも話し、母の存在を改めて噛みしめていたようだ。

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