4か国語を操る盲目の英少女、欧州議会で“夢”の通訳デビュー果たす。

2011/04/18 22:55 Written by Narinari.com編集部

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親の教えと、手と耳の感覚を研ぎ澄ませることで、10歳ながら母国語の英語のほか、フランス語、スペイン語、中国語の4か国語を習得した盲目の少女が英国にいる。この少女は議員に同行という形で、このほど欧州議会での通訳デビューを果たしたそうだ。    

英紙デイリー・メールやメトロなどによると、ケンブリッジで暮らしているアレクシア・スローンちゃんは、共にケンブリッジの学校で教師を務める英国人の父リチャードさんと、スペイン人とフランス人のハーフ・母イザベルさんの娘として生まれた。そんな彼女は、両親の教えにより、英語、スペイン語、フランス語の3か国語は小さなうちから話せるようになったという。しかし、そんなアレクシアちゃんが突然の悲劇に襲われたのは2歳のときだった。

脳に腫瘍が見つかった彼女は、18か月もの時間をかけて化学療法での治療を続け、状態が落ち着いたのと引き換えに両眼を失明。以来、目からの情報が一切入らなくなってしまった彼女だったが、あるとき自分のある能力に気が付いた。「視力がない分、聴力は敏感だと思う」(デイリー・メール紙より)と話すアレクシアちゃん。その力は最も身近な音である言語への関心へと繋がり、彼女は世界の言語に興味を持ち始めたそうだ。「私が世界を見るためには、言葉を知らないと」と好奇心を見せる彼女は、次第に通訳としての夢を抱くようになった。

親の教えもあり「スペイン語とフランス語は簡単に学べた」という彼女は、自分の力に気が付いた6歳のときに「ほかの言葉も学びたい」と母親にお願い。そこで彼女が選んだのは、世界で影響力を増しつつある中国語。家庭教師と音声テープから耳で学び、ほかに点字で書かれた特別なテキストを使って言葉を学んでいった。3か国後は簡単にマスターした彼女でも、中国語は「発音が完璧でなくてはならないから難しい」そうだが、それでも彼女の勉学意欲はそこには留まらず、現在はさらにアラビア語とロシア語、ドイツ語の勉強も始めている。

そんな彼女は、英国では通常義務教育を修了した学生が受験する「GCSE」のスペイン語とフランス語の試験で、すでに最上位の成績を取得。視力を失いながらも努力した結果が評価された彼女は、昨年10月に地元紙が開いたイベントで「最も勇敢な子ども賞」なる賞を受賞した。これをきっかけに欧州議会での通訳の仕事を与えられ、4月中旬にベルギー・ブリュッセルで開かれた欧州議会環境委員会に英国人議員の通訳として出席し、夢だった通訳デビューを果たしたそうだ。

フランス語やスペイン語の話を英語に訳して議員に伝えるという仕事を2時間にわたって務めたアレクシアちゃん。専門的な言葉もスムーズに理解するほどの能力を披露し、周囲の通訳もその能力の高さに「驚いていた」という。

今回の経験について彼女は「とても素晴らしくて魅力的だったわ」と嬉しそうに語り、通訳になるとの決意が一段と強まったよう。母のイザベラさんは、今もまだ彼女の頭に残る腫瘍への不安を口にしながらも「彼女は優秀な女の子よ」とも話し、将来に期待をかけている。アレクシアちゃんがこのまま元気でいることがまず一番だが、願わくば順調に勉強を重ねて、世界の場で活躍する女性に成長してもらいたいところだ。

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