40年前紛失の財布が手元に戻る、懐かしい父の写真やカード類はそのまま。

2011/02/23 14:59 Written by Narinari.com編集部

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紛失したと悔やんでいたモノが戻ってきたとき、その嬉しさには格別なものがあります。米ニューヨーク州に住む77歳のルドルフ・レスタさんも先日、そんな喜びに浸る出来事がありました。しかも、レスタさんのもとへ紛失物が戻ってくるまでには、数人の真心がこもった“持ち主探し”があったそうです。

米紙ニューヨーク・タイムズに掲載されたのは、レスタさんが失くしてしまったお財布が、なんと40年以上の歳月を経て手元に戻ってきたという話。かつて長年にわたり同紙の本社に勤めていた彼は、1970年のある日、オフィスのクローゼットにジャケットをかけておいたところ、何者かにお財布を盗まれるという苦い経験がありました。

それから時は流れ、1999年にレスタさんは同社を退職。2007年にはニューヨーク・タイムズ本社もほかのビルに移り、彼の働いていたオフィスのある建物は借り手も少ないまま、ひっそりとしていたそうです。

そして昨年の秋のある日、旧本社があった建物の警備員ホセ・シンネストさんが、2階にある穴の開いた窓を調べていました。すると、窓と背後の石膏部分の隙間に何かがあるのを発見したのです。拾い上げてみると、中からは年代を感じさせるクレジットカードや、モノクロ写真、そして新聞の切り抜きなどが出てきました。

「誰かの大切なモノだったに違いない」そう思ったシンネストさんは、まず上司のラファエル・ロドリゲスさんに相談。幸い財布には、ニューヨーク・タイムズ紙の社員であることを証明するカードがあり、持ち主が“ルドルフ・レスタ”さんであること、そして当時の仕事先を突き止めることができました。しかし、ニューヨーク・タイムズ本社に電話をかけてみても録音されたアナウンスが流れるのみ。さらに紛失物の問い合わせができる部署はなく、問い合わせすらなかなかできずにいたそうです。

それでも財布を大切に保管していたというロドリゲスさんらは、あるきっかけから、レスタさんに連絡を取ることができました。それはニューヨーク・タイムズ紙のインターネット部門に勤めていたゴードン・トンプソンさんが旧本社の近くに映画を観に来ていたときのこと。待ち時間を利用して懐かしいオフィスの見学に訪れた際に、警備員デスクにいたロドリゲスさんが財布の一件を伝えました。

今度は話を聞いたトンプソンさんが、ニューヨーク・タイムズ紙の「歴史を知る」記者に連絡。さらに記者がレスタさんの所在地を突き止め……と善意の連鎖が続き、財布を発見したシンネストさんから数えて4人の人物を介して、ようやくレスタさん本人に財布発見の一報が伝わりました。

レスタさんは当初、40年も前に紛失したモノが返って来るとは……と、半信半疑だったそう。しかし、警備員のシンネストさんらと直接会って財布を手にしたとき、一瞬言葉を失い、そして感謝のキスをしたそうです。

現金は姿を消していましたが、財布の中には古いクレジットカードのほかに、新聞の切り抜き、そして家族写真などが入っていました。懐かしさに気持ちがいっぱいになったレスタさんですが、中でも一番嬉しかったのが、財布を紛失する数年前に他界した父親のポートレート写真がそのままになっていたこと。もう二度と眺めることができないと、切なさで一杯になっていた大切な写真が返ってきたことを心から喜んでいるそうです。

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