「100万ドルくれ」男の結末は? YouTubeに“結果報告”動画を公開。

2011/02/06 10:08 Written by Narinari.com編集部

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今年1月、一般市民にとっては夢のような「100万ドルをタダでもらった」という話が話題を呼んだ。発端はニューヨークで演劇の仕事をしている27歳の男性が、何の理由もなく「誰か100万ドル(約8,200万円)をくれ」とYouTubeに動画を投稿したこと。すると、見知らぬ資産家が名乗りを上げたと再び動画で報告して話題を呼び、「2月2日にお金を受け取り、資産家の名前なども発表する」としていた。ところが、この男性は2月3日付で新たな動画をYouTubeに公開すると、その中で「この話はいたずらだった」と発表。これを受けて地元紙などが取材を試みているが、動画の中では雄弁に語る彼も直接のコメントは拒否したという。

この話題は、ニューヨークで作家兼コメディアンとして活動しているクレイグ・ローウィンさんが、1本の動画をYouTubeに公開したことが始まり。彼は昨年11月、お金持ちと思われる有名人たちの名前を次々と挙げて「誰か100万ドルをくれ」と懇願する、初めての動画を投稿した。この動画の中で、彼は呼び掛けた目的を「経済的な困難」などいった具体的な理由ではなく「すごいことになると思ったから」と説明し、一種のイベントのような感覚で行ったと話している。

これに続いて昨年12月には、賛同者が現れないとして2本目の動画を投稿するも、この時点までは一部の米メディアが報じただけに留まり、彼の行動はそれほど注目されているとは言えなかった。

そして年を越して今年1月、なんと彼は「100万ドルゲット」を報告する3本目の動画を投稿。これが“驚きの成功者”として注目を集め、米メディアから発信される形で世界でも報道され、一躍脚光を浴びる存在になったというわけだ。この動画で、彼は100万ドルの提供者が“ベンジャミン”と名乗る資産家と公表。毎週定期公演を行っている劇場で2月2日にお金を受け取り、資産家の名前も発表するとしていた。

そうした中で迎えた2月2日のニューヨーク・UCB劇場での公演。彼は予告通り観客の前に立ったのだが、その様子を収めた動画が2月3日付でYouTubeに公開されている。動画はステージに用意された椅子に座り、ローウィンさんと“ベンジャミン”さんらしき初老の男性が観客の前で話をしているところからスタート。観客の笑い声もおきる和やかなムードの中で、ローウィンさんが「100万ドルを下さい」と切り出すと男性は小切手を取り出し、ローウィンさんのスペルを確認しながら金額を記入していく。男性は繰り返される0の数字を書き終えると、まずは観客たちに向かってひとしきり見せ、その後ローウィンさんと握手をしながら小切手を手渡した。

歓声を上げて盛り上がる観客たちを前に、男性に感謝の言葉を口にしながら「もう返せないよ」と話して笑いを誘うローウィンさん。その後、最初の動画を投稿してからの2か月間を感慨深げに振り返り、胸ポケットにしまった小切手を取り出して高く掲げ、もう一度アピールすると、観客たちは目的を達成した彼に歓声と拍手を送る。

ところが、突然「But」と切り出した彼は、ポケットから取り出したライターで小切手に火を付けた。「What?」と困惑する声も上がる中、小切手が一瞬にして消えるとそのまま場内は暗転。場内には再び彼の映像が上映され、今回の一件は「いたずらだった」とここで明かされた。

結局100万ドルゲットの話は彼が考えたいたずらで、劇団員たちも「大賛成だった」(米ニュース専門ケーブルテレビ局NY1より)と乗り気で協力したらしい。しかし、彼の“成功”を報じた米メディアの間では、この結末はあまり評判がよろしくないようだ。

米紙ニューヨーク・デイリーニュースは「彼は繰り返しいたずらではないと主張した」として、彼を「全く面白くない男」とバッサリ。ケーブルテレビ放送局NY1も「彼の笑いに100万ドルの価値はあったかもしれないが、彼自身にその価値はない」とかなり手厳しい。

また、2月3日には、ニューヨーク・デイリーニュース紙が彼に取材を申し込んだそうだが、「マネージャーに連絡を」と語ったのみで沈黙を決め込んでいるよう。今後、彼に向けられる視線がどのようなものになるのかも気になるところだが、ある意味で“ラッキーな男”という役を演じ切った役者としては大成功とも言える。やはり一般市民は、世の中にそんなうまい話は転がっていないと再認識し、地道に働いていかなくてはいけないようだ。

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