図書館閉鎖抗議で本棚が空に、住民が一丸となって1万6,000冊の本借りる。

2011/01/20 20:13 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


多くの人が趣味や勉強のために利用するだけでなく、時には憩いの場としても活用される図書館。市民にとっては重要な公共施設ではあるが、財政難に陥った自治体が縮小や閉鎖という道を選択することもある。英国のある街では財政の悪化により、年内での図書館閉鎖を検討せざるを得ない状況になったそう。しかし、この計画に「待った」をかけるべく、一部の住民たちがFacebookやメールで抗議活動を呼び掛けた。その結果、図書館にあった約1万6,000冊の本が借りられ、本棚がすっからかんの状態になったという。

話題を呼んでいるのは、英南部ミルトンケインズにあるストーニー・ストラトフォード図書館。複数の村や町が合併して1967年にできたこの街には10の図書館があるが、街は予算規模の縮小を迫られ、図書館の運営縮小も検討課題の1つになった。現段階では、10か所の図書館のうち2か所の年内閉鎖を検討しており、2月22日に開かれる議会で予算案が可決されればこの計画も決定されるという。その閉鎖候補に挙がった2か所の中に含まれていたのが、ストーニー・ストラトフォード図書館だ。

この計画に「黙っていては手遅れになる」(英紙ガーディアンより)と、住民による抗議活動がスタート。昨年12月、この地区に住む6,000人の住民に、計画への不満がつづられた手紙が配られたほか、Facebookでは「1月15日の閉館時刻までに図書館の本棚を空にしよう」と抗議活動への参加が呼び掛けられた。この抗議活動は、図書館の貸出制限となる15冊を1週間借り続けるというものだ。

すると、Facebookの呼び掛けにたくさんの支持が集まり、活動を開始する予定の1月12日を待たずして多くの住民が図書館へ殺到。約1万6,000冊ある図書館の本は「1時間に平均378冊」という勢いで借りられていき、1月13日までに本棚は空っぽの状態になった。

現在のところさらなる抗議活動は予定されていないというが、住民たちが一丸となった活動は、予算案を決定するミルトンケインズ市議会に対する大きなアピールとなったことは間違いない。「行政は図書館のサービスを広げて、もっと多くの人を呼びこむ方法を見つけるべき」(ガーディアン紙より)と訴える声が届くのか、住民たちは固唾を飲んで2月に出る結論を待っていることだろう。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.