これが本当の“草食系”男性? 野草を34年間食べ続けて人生の歯車狂う。

2011/01/16 10:01 Written by Narinari.com編集部

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最近、日本の影響で中国のメディアでも“草食系男子”という言葉を目にする機会が増えているが、これはもちろん、恋愛などに消極的な男性を草食動物に例えただけなのは言うまでもない。しかし、中国には34年もの間、本当に野草を食べ続けている“草食”の男性がいるという。

中国紙重慶晩報などによると、この男性は中国重慶市の巫山県で暮らす60歳のゴンさん。彼が草食に目覚めたのは今から34年前、26歳のときのことだった。炭鉱で働いていたある日、石炭を運びながら山道を歩いていると酷いノドの渇きを覚えたものの、辺りを見渡しても草が生えているばかりで水場はない。そこで仕方なく草を引き抜き、ちぎって食べてみると、口の中には清々しい野草の香りが満ち溢れ、初めて味わう感覚に興奮してしまった。「噛むとやわらかくなり、まるでホウレンソウを食べているようだった」と感じたという。

この1回の草食が、後の彼の人生を大きく変えることになる。草、特に茅の部分を食べて感動したゴンさんは、毎日3度の食事の前に必ず野草を食べることが習慣化。草を食べないと気分が悪くなったり、仕事をする気を失ったりするようになってしまった。それは草だけを食べて、食事を取らなくてもよいことがあるほど。とは言え、彼なりに草食のルールも存在していたようで、毎日8時、12時、18時と決まった時間に食べていたそうだ。

「草は新鮮。肉よりも新鮮!」と話すゴンさんはすぐに周囲で知られた存在となり、多くの人から注目を浴びることに。地元では“すごい人”ともてはやされ、連日のようにたくさんの人が彼の家を訪れるようになったという。そして何人もの女性に興味を抱かれ、いつしかモテモテの生活を送るようになった。

そして1981年の秋、ゴンさんはある女性と知り合う。彼女も草を食べる男の存在を聞きつけて、彼のもとを訪れたファンの一人だったが、初めて顔を合わせたときから意気投合。ほどなくして二人は結婚することになった。生活は決して豊かとは言えなかったが、苦しみの中にも楽しみがある、幸せな結婚生活を送ったという。

ゴンさんは「あのときは草を食べることがこんなに自分にプラスになるとは思わなかった」と当時を振り返っている。それは草食の習慣が、自分に素晴らしい結婚相手をもたらしてくれたからにほかならない。

しかし、彼には草を食べること以外、これといった特技はなかった。そのため、時間が経つにつれて周りの人々の関心は希薄化。さらに90年代に入ると、草食というだけでは誰にも見向きされなくなってしまった。しかも悪いことに、「草を食べて人気を集めている」と誹謗中傷まで受けるようになり、中には「彼は頭がおかしい」と言い出す人まで現れたという。

こうした中傷に彼は「自分はただ草を食べることが好きなのであって、決して人気取りのために草を食べているわけではない」と弁解するも効果ナシ。世間のプレッシャーに屈し、次第に食べる草の量を減らしていったそうだ。そして10年ほど前、ついに草食を自制できるようになった。

ただ、あまり草を食べなくなったゴンさんの身体には、異変が起きるようになったという。体力だけでなく記憶力も低下。毎日ぼんやりして過ごすようになり、仕事にも身が入らなくなってしまった。当然生活はますます困窮し、妻は2003年、夫に愛想を尽かして子どもと共に家を出て行ってしまったのだ。

妻は家を出ていく理由について多くは語らなかったが、ゴンさんは「私の草食が原因だ」と考えている。そして現在、彼は遠く離れた妻や子どもと電話で連絡を取っているそうだが、「早く妻に帰ってきて欲しい。私が草を食べなくてもきちんとやっていけるようになれば……」と地元紙に思いを吐露。草食の欲求や、体の不調と戦う日々を送っている。

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