家庭用プラスチック製品ならお任せ、約10万円の格安3Dプリンタ現る。

2011/01/14 12:24 Written by Narinari.com編集部

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紙に印刷する通常のプリンタとは異なり、立体の造形物を作成できる3Dプリンタ。現在はまだ法人向け用途が主で、1台数百万円と高価なモノが多いが、中には個人向けに設計された安価で小型なモデルもチラホラと登場してきている。先日、米ラスベガスで開かれた国際家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」にも、日本円にして約10万円程度の3Dプリンタが出展。メーカーのウェブサイトから5,000種類ものデータをダウンロードすることでいろいろなモノが作れるこの3Dプリンタは、家庭で使うプラスチック製品ならたいていのモノは作れると注目されているようだ。

この3Dプリンタは米国のMakerBot Industries社が開発した「Thing-O-Matic」。シンプルかつ質素な外観とは裏腹に、その中には超ハイテクな技術が詰め込まれている。縦横約30センチ、高さ約40センチというこの機械により、「縦横約15センチ、高さ約17センチまでなら、どんなプラスチック製品も作れる」(英紙デイリー・メールより)そうで、1,225ドル(約10万円)で販売中。これまでに約3,000台を販売したそうだ。

CESでの展示では、実際に30分かけて栓抜きを作成するパフォーマンスを披露。MakerBot Industries社は2009年に「MakerBot CupCake CNC」という3Dプリンタを発売しており、今回の「Thing-O-Matic」は、それをベースにしながら、より使いやすくしたいわば“進化形”と言えるモデルとなっている。

同社は個人向けの製品にこだわっており、「Thing-O-Matic」も手に入れやすく、かつ扱いやすいように設計。本体下部にUSBポートやSDカードスロットを備え、ユーザーはパソコンに接続して操作を行い、同社のウェブサイトから設計図などをダウンロードして利用すれば、簡単な操作で立体物が作れる仕組みだ。もちろん、自分で3Dイメージを作成することも可能。少なくともUSBケーブルとパソコンがあれば、難しい操作を必要とせずに、いろいろな物がすぐに作り出せるというわけだ。

気になるのは具体的に“何が作れるのか”だが、デイリー・メール紙には例として「チェス」「模型の車」「鉄道模型のアクセサリー」「アクションフィギュア」といった趣味の品々のほか、「食器」「審判のホイッスル」「哺乳瓶」「カメラのレンズフード」「計量スプーン」「弁当箱」「イヤリング」「ワインストッパー」「食洗機のプラスチックノブ」「シャワーカーテンのリング」など、多様なアイテムを挙げている。

また、米フォーブス誌は造形の際に必要となるABS樹脂(※ほかに高密度ポリエチレンにも対応している模様)が「1ポンド(約450グラム)につき約5ドル(約400円)」とランニングコストに触れているほか、一般の人でも「手頃で簡単に動かせるプリンタ」と紹介するなど、「Thing-O-Matic」を称賛。現在はまだ対応していないものの、MakerBot Industries社は将来的に、プラスチック以外に金属も扱えるようにすると意気込んでいるそうだ。企業だけではなく、個人でも手の届く製品となってきた3Dプリンタだが、果たして一般家庭で当然のように利用される日は訪れるのだろうか。今後が楽しみなところだ。

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