7階住民の退去求め階段を破壊、家財道具残したまま帰宅できない状態に。

2011/01/13 20:20 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


中国の都市部などでは急速な経済発展の影響により、古い建物を取り壊して新しいマンションや商業施設を建設する工事がそこかしこで進められている。しかし、政府や開発業者、住民の間で立ち退きを巡る小競り合いが生じることも多く、時にはあからさまな嫌がらせで住民が退去を迫られることも。このたび四川省でも、強引な“地上げ”が行われていることが判明し、人々の注目を集めている。それはマンションから立ち退かない住民が家に帰れないようにすべての階段を破壊するという、なんとも過激な嫌がらせだ。  

中国紙新京報などによると、この嫌がらせは四川省綿陽市にある7階建てのマンションで行われていたもの。地元メディアなどに建物は“空中楼閣”と呼ばれているが、これは1階から5階部分までの階段が根こそぎ破壊され、6階と7階の住居部分がまるで空中に浮かんでいるような状態になっているためだ。

このような有様になってしまったのは、7階で暮らす趙雁紅さんが開発業者からの立ち退き要請を拒否し、最後まで抵抗を続けているから。趙さんは提示された立ち退き条件に納得がいかず、業者ともめているという。しかし、ほかの住民がすでに去ってしまったために、業者側は強引な手段を選択。昨年の大みそかの晩から元日の午前にかけて、パワーショベルで建物の階段を破壊してしまったのだ。あまりに突然の出来事だったこともあり、趙さん一家の家具や荷物は室内に置かれたまま。現在、自宅に帰れない日々を送っているという。

もともとこの建物は、趙さんが以前勤めていた会社が社宅として用意していたもの。しかし、その会社が10年前に倒産したことで状況がややこしくなってしまった。当時の社長は社宅部分を含む会社の土地を不動産業者に売却したが、住宅はそのまま使用できると社員に約束していた。ところが昨年7月、実際に再開発の工事が始まると、業者は土地の使用権を盾に住民に立ち退きを要請。中には業者側の人間に殴られ、脳しんとうを起こした住民もいるというから、以前から強引な方法がとられていたことは想像に難くない。

この話題がメディアで取り上げられるや否や、中国国内では批判が噴出し、政府も介入する騒動に発展した。現在は調査が済むまでの間、工事はいったん中止されることが決定したそうだが、趙さんと家族が納得のいく形で家をあとにできるのは、まだ先のことになりそうだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.