盗まれたドル札芸術「HONESTY」、泥棒にはメッセージが伝わらず。

2010/12/24 11:25 Written by Narinari.com編集部

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社会の秩序を保つためには、法律というルールを守るのは当たり前のこと。いくら魅力的な何かが目の前にあったとしても、それが誰かの所有物であるなら、決して勝手に取ってはならない。先日、米ミネソタ州では、大学に展示されていた芸術作品が盗まれる事件が起きた。この作品、金網に本物のドル札を丸めて刺して「HONESTY(正直)」という言葉を作り上げているモノだったのだが、残念ながら泥棒にはそのメッセージが伝わらなかったようだ。

米地方紙ミネアポリス・スタートリビューンによると、事件は12月14日夜、ミネソタ州ブルーミントンにあるノルマンデール・コミュニティカレッジで起きた。この大学では、11月9日から芸術家のジョン・イルグさんの作品を集めた展示会を開催。今回盗まれた作品も展示されていた中の1つで、金網全体に316ドル分(約2万6,000円)のドル札が使われており、このお札が盗まれてしまった。現場にはギャラリーから駐車場まで足跡が残されていたほか、お札7ドル(約580円)分はそのままだったが、防犯カメラが作動しておらず、容疑者の特定にはまだ至っていない。

イルグさんはこの作品を2008年に制作し、以前には別の展示会に出展していたとのこと。使われていたドル札は、形作った「HONESTY」の心が見る人々にあるのかを試すかのように、金網に丸めて差し込まれていただけで、接着はされていなかったという。そのため、見学に訪れた人々は刺さったお札を動かすなどして、この作品を楽しんでいたそうだ。

そして、中には枠の外を囲むように自分のお金を差し込む人も現れ始め、その総額は「150ドル(約1万2,000円)」になっていたという。また、作品は賞を獲得して500ドル(約4万1,000円)の賞金も得たそうで、作品に使った分は「充分に採算が取れた」そう。まさに、イルグさんと客にある“正直さ”によって築かれた素晴らしい作品だったが、残念ながら12月16日の最終日を前に、欲に目が眩んだ泥棒によって今回盗まれてしまった。

人の正直さを訴えた作品が盗まれたという皮肉な事件に、大学のジェフ・ジャッジ人文科学部長は、犯人が「一切ノルマンデールと関わりがないと望んでいる」とコメント。せめて、大学関係者の中に悪い人はいないと信じたいようだ。一方のイルグさんは、作品のフレームだけでも戻れば「もう1つ作る」と話しているが、「結局盗まれるんだろうね」とあっけらかん。しかし、今度作った際には「見る人は笑うだけにしてほしい」(ミネアポリス・スタートリビューン紙より)と、お金を盗まないように訴えることも忘れていない。

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