家が燃えた記者が自ら“報道”、消防士や消火参加の地元住民に感謝。

2010/12/02 15:34 Written by Narinari.com編集部

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11月29日の午後、米コネチカット州シャロンにある築200年の住宅で火事が起きた。幸いけが人もなく、全焼も免れるなどそれほど大きな火事ではなかったのだが、この火事がちょっとした注目を集めている。家の持ち主のブライアン・ロスさんは米放送局ABCのベテラン記者で、自らが遭遇した火事のレポートを“報道”したためだ。

ABCで紹介されている彼の経歴によると、ロスさんは1971年からの地方テレビ局勤務を皮切りに記者として働き始め、その後、米放送局NBCで20年の勤務を経て、1994年にABCに入社した。特に米国の国際問題や政治経済関係に関する話題での鋭い取材に定評があり、その功績はこれまでにさまざまな賞を受賞するほどの腕利きのベテラン記者だそうだ。

米地方紙リッチフィールドカウンティー・タイムズによると、火災が起きたのは11月29日午後2時半頃のこと。ロスさんの住宅兼オフィスの自動火災警報器が作動し、消防が出動した。火は「1階北西の角部屋」から発生したと見られ、懸命の消火活動の結果、午後4時頃には鎮火。築200年という伝統ある建物は、迅速な消防の対応によりオフィス部分のみの焼失で免れたそうだが、煙による被害が家全体に広がっているらしい。警察と消防は、電気系統に何らかの問題が起きたと見て調べを進めている。

そんな災難に見舞われたロスさんは、ほかのメディアの取材に応える一方で、記者としての自らの使命を全うするかのように火災についてのレポート記事「Fire Damages My Connecticut Home」を執筆し、ABCのサイト上に掲載した。それによると、今回火災に遭った家は1986年に購入し、週末や夏休みに家族と共に過ごす別宅として使用していたもの。火事が起きる直前の日曜日も、この別宅のオフィスで仕事をしていたそうだ。

自らが執筆した記事とあって、客観的な事実の報告とともに、当事者ならではの心情も多くつづられている。例えば冒頭では、被害を知った多くの人々から励ましに「感謝したい」。また、終わりでは消火活動に地元住民が参加してくれたことを紹介。これまで長年の記者活動の中で目にしてきた災害現場での毅然とした消防士と同様に、彼らは「プロだった」と称賛し、こちらにも感謝の気持ちを表している。ベテラン記者と言えども、自分が当事者として取材される側に回り、当事者の目線で火事を見つめた今回の一件は、大きな経験となったのかもしれない。

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