ひ孫発見情報で65年ぶりの再会劇、養子縁組サイトで曾祖母の名に気付く。

2010/11/07 15:31 Written by Narinari.com編集部

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ネットで検索したことをきっかけに、何十年も生き別れになっていた家族が再会したという話は、欧米を中心にしばしば聞かれる。先日も米国の養子縁組サイトの情報から、65年前に養子へ出した息子との再会を果たした女性がいた。ネットが発達した今だからこその再会劇は、どのような経緯で現実のモノとなったのだろうか。

米放送局KXLY-TVによると、ワシントン州コルファックスで暮らすキャロリン・ヘイナーさんは今年9月、孫が見つけた情報に驚かされた。ネットで家族史を調べていた孫は養子縁組サイトで、見知らぬ男性のプロフィールページにあった“母”の欄に、へイナーさんの母親と同じ名前「タワナ・ジョー・イェイデン」と記されているのを偶然発見したという。

なぜ母親の名前が――不思議に思ったヘイナーさんは当初、親族にこの話をしてみたが、誰も母親の過去を知る人はいなかった。それでも何か不安が拭えずにいたヘイナーさん。「『タワナ・ジョー・イェイデン』という名前の人が、2人いるなんて考えられない」と2〜3日悩み、思い切ってプロフィールページの男性フレッド・カイザーさんと連絡を取ることを決意する。最初に調べた電話番号は繋がらなかったが、次にFacebookで検索してカイザーさんのページを発見。彼女は母親のことをたずねるメッセージを送った。

このメッセージに、今度はカイザーさんが驚くことに。オクラホマ州の「良い家庭」で育てられたというカイザーさんだったが、小さい頃から自分が養子であるのは知っていたという。そのため、1971年からずっと実の母親を捜し続けていたものの、捜索は難航し、母親の存在を確かめられないまま40年の月日が経過。そこに突然舞い込んできたのがヘイナーさんからの知らせだった。

2人は電話とメールでやり取りを重ねる中で、お互いが兄妹、すなわち母親が同一人物の「タワナ・ジョー・イェイデン」さんだと確信。そこでヘイナーさんはこれが事実であるかを確かめるため、母親にカイザーさんの存在を伝えた。すると「ノー」と弁解を始め、明らかに取り乱した様子を見せたそうだ。

実は、母イェイデンさんが頑なに息子の存在を誰にも明かさないまま現在に至ったのには、暗い理由があった。1944年、まだ10代だったイェイデンさんは不幸にも男性に襲われてしまい、その結果、1945年1月1日にカイザーさんを出産。敬虔なキリスト教徒だった彼女は、望まずして生まれた男の子をすぐに養子へ出し、その数週間後には家族と共にオクラホマ州からカリフォルニア州へと引っ越したという。

その後、1946年にイェイデンさんは結婚。2人の子どもに恵まれ、幸せな家庭を手に入れた彼女は、この暗い過去を誰にも話さず心に封印していた。しかし、ヘイナーさんから話を聞いたイェイデンさんは、男の子を養子に出した当時「もう会えないだろうと何度も泣いた」ことを吐露。母親の過去を知ったヘイナーさんは「母がどれだけ強い心で過ごさなければならなかったかと知り、胸が痛かった」と話している。

この“告白”のあと、ヘイナーさんは2人が会えるように尽力。まず、カイザーさんに連絡先を伝えて母親の声を初めて聞かせ、さらに先日、カイザーさんをオクラホマ州から呼び寄せる形で65年ぶりの再会を実現させた。

メールをもらうまでは母親との再会は半ば諦めだったというカイザーさんは「いますぐ死んでも良いくらい幸せ」と嬉しい気持ちでいっぱいに。一方、アルツハイマー病を患っているイェイデンさんも、彼を見るなり力強く抱き寄せ、ずっと会えずにいた息子との再会を心から喜んでいたという。

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