大学が学生に“リュック強要”、「格好悪い」と学生側からは不満噴出。

2010/10/19 12:07 Written by Narinari.com編集部

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中国の小中学生が、学校への登下校時に当たり前のように身に付けているリュックサック。中国においてリュックは“学生の象徴”として捉えられている節があり、大人になればなるほどリュックを背負う人は少なくなってくる。そのため、学生には違いないものの、大学生にもなるとリュックの使用を避ける人も増えてくるのだが、先日、ある大学は学生に「リュックを強要」するという施策を導入した。その目的はどうやら学生の規律を正し、より学業に励ませることにあるのだが、当の学生からは不満の声が噴出しているという。

中国紙華西都市報などによると、リュックを強要しているのは四川省にある四川大学錦城学院。この大学はこれまでも学生にリュックの使用を推奨してきたそうだが、あまり学生には浸透せず、このたびついに強制力を持たせた「リュック使用の規定」を正式に導入することになった。

これに従い、大学側は学生がきちんとリュックを使用しているかどうかの検査を実施。授業に出るときや図書館に行くときはリュックを必ず背負い、その中には学生にとっての「三種の神器」とも言える本・ノート・ペンを必ず入れておかなければならない。同校はこの規定を徹底させるために、価格の安いリュックを大学構内で販売するとともに、経済的に困難な学生には無償提供も行うというから、かなりの本腰だ。

実は、大学側がリュックの使用にこだわるのには理由がある。その大きな理由のひとつが、学生の中には筆記用具も持参しないで授業に出るようないい加減な学生がいるため。そこで大学側としては中国で“学生の象徴”とも言えるリュックをきちんと背負ってもらい、大学内に良好な学習の雰囲気を生み出すことで、勉学意欲を高めることが規定導入の目的だという。

しかし、この規定に対して多くの学生は批判的だ。今のところ同校では、女子学生の多くはショルダーバック、男子学生は教科書を手に持って授業に出るのが一般的。リュックを背負うのは学生にとって「面倒」であるかのように捉えられており、子どもの頃から背負い続けてきたリュックを使用することはファッション的にも「格好悪い」と考えられている。

四川大学のある教授は「リュックを背負って授業に出ることは成績とは関係ない」としながらも、こうした規定は学生にとって自分の立場を改めて理解する一助になるとし、「学習の雰囲気を改善させる上で役立つ」と賛成の立場。警官が制服を着ることが重要であるように、学生もリュックを背負うことで「自分が学生であるという意識を強く持って欲しい」としている。

一方、8歳の子どもを持つ市民の一人は、この規定について「賛成」としながらも、もはや大人である大学生に「どこまで効果があるのかは疑問」とも。子どもではない彼らにこうした規定を導入しても「意味がない」と考えているようだ。

ちなみに同校では、昨年も別の規定を定めて成功した実績があるという。それは授業前に全学生が起立し、教授に対して挨拶を行うというもの。この規定は現在、同校にすっかり定着している。今回の「リュックを背負って授業に出る」という規定はまだ学生に受け入れられていないようだが、ひょっとすると、1年もすれば誰もが当たり前のように従っているのかもしれない。

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