「余命誤り」財産処分後に判明、売る必要のなかったモノを手放しショック。

2010/10/15 13:06 Written by Narinari.com編集部

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医師から受ける余命宣告は、自分の“死”を現実的に、はっきりと認識させられることを意味する。その受け止め方はさまざまだろうが、宣告を受けた当人は一様に心中穏やかではないはずだ。英国に住む55歳のある男性も、昨年、医師に末期の肝臓がんと診断され、余命6か月と告げられた。ショックを受けた男性は自殺を考えながらも、自分の愛する人たちに資産を分けておこうと、身の回りのモノをほとんど売りに出してお金に替えてしまう。ところが宣告から3か月後に別の病院でもう一度検査を受けると、がんはおろか身体には問題なし。余命宣告は誤りだったことが判明した。

医師の診断に振り回されてしまった不運な男性は、バーミンガムで質屋を経営していた55歳のマルコム・マクマホンさん。英地方紙バーミンガム・メールによると、彼は昨年2月に病院で肝臓の検査を受けたところ、怪しい影が発見された。それを見た医師の見立ては「末期がんの可能性があり、もしそうなら余命は6か月」。さらに詳しい検査が必要としながらも、医師はマクマホンさんにその見解を伝えてしまった。

まさかの診断を聞いたマクマホンさんは呆然。交際していたガールフレンドもこの話に「ひどく落ち込んだ」という。実はここ数年で、彼の母親や兄弟がいずれも肺がんで亡くなっており、闘病や最期の姿を見ていた彼はがんという病気の深刻さを思い知らされていた。自らもがんに冒されたショックは、彼に自殺という選択肢も用意させてしまう。

最後まで生きるべきか死ぬべきか、揺れる思いを抱えながらも、一方では自分が愛している人たちのことも考えたマクマホンさんは、余命宣告から3日後に資産の整理を開始。経営していた質屋を閉じ、両親が残してくれた多くの家宝を売り払ったほか、持っていた債券などを現金に替え、遺言書も作成、さらには飼っていた愛犬のうち1匹も譲り渡した。そして彼は医師や看護師に、自宅で最期を迎えるための方法についても細かく相談。目前に迫ったそのときに向けて、すべての準備を周到に進めていた。

そして宣告を受けてから3か月後。マクマホンさんは再び詳しい検査を受けるためにバーミンガム市立病院へと向かった。すると、検査の結果は「がんではない」。身体に何の問題もないことが分かったが、マクマホンさんは違う意味で呆然としてしまう。売却先がまだ決まっていなかった家は残ったものの、売る必要がなかった家宝や資産のほとんどは、すでに手放してしまったからだ。

今回のケースについて、最初に診断した医師は英メディアに対するコメントを拒否。ただ、専門家の一人は、最初の超音波検査の結果が「がんの可能性が高いと思わせる、難しいケースだった」(英紙デイリー・メールより)とコメントし、医師に同情的な見方も示している。

何とも気の毒な話だが、とりあえず死を意識する必要がなくなったことだけは幸い。「去年は本当に被害を受けた」(バーミンガム・メール紙より)と、うんざりした様子のマクマホンさん。まだこれから続く人生、再び幸せな生活を取り戻せるよう、何とか頑張って欲しいところだ。

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