「オシッコ臭」猫は犬より強烈、犬猫用トイレの細菌と尿の関係を研究。

2010/10/14 16:51 Written by Narinari.com編集部

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犬や猫を室内で飼っていると、どうしても気になるのはオシッコの臭い。ちゃんとしつけをして専用トイレで用を足させ、こまめにトイレをきれいにしていても、ある程度の臭いが出てしまうのは仕方がないところだろう。そんな犬や猫の“オシッコ臭”について、ライオンの分析技術センターとライオン商事は犬猫用トイレにおける細菌と尿との関係に着目し、研究を進めてきた。そしてこのたび、犬と猫のトイレを比較すると、猫用トイレにおける“オシッコ臭”は、犬用トイレよりも強烈であることを確認したという。

この研究は、近年、ペットを室内で飼育する家庭が増え、屋内に設置したペット用トイレから発生する臭いを不快に感じる人が増えていることを背景に取り組みが進められているもの。実際にライオン商事が2009年に実施した調査では、「ペットオーナーが最も気になるニオイ」は、犬、猫ともに「オシッコ臭(犬28%/猫36%)」だった。

研究の成果として同社は、2009年に「猫用トイレの“不快なニオイ”の一因は、刺激のあるアンモニア臭であること」「猫用トイレのまわりに存在する細菌『スタフィロコッカス属細菌』『ヨトガリコッカス属細菌』が、猫の尿中の尿素を分解してアンモニアを発生させること」の2点について、防菌防黴学会で発表も行っている。

そしてこのたび発表したのが、猫用トイレは“オシッコ臭”が強烈という結果。猫用トイレに付着した細菌が尿を分解してアンモニアを発生する能力が、犬用トイレや犬の体表に付着した細菌よりも高く、24時間培養後のアンモニア発生量は20倍以上であることを確認したという。

具体的にはまず、犬のトイレまわりにいる細菌について調査。犬を飼育している5家庭において、犬用トイレ(内側、底部、トイレシート上)や犬の体表(肉球、お腹、肛門周り)を対象に34か所で拭き取り調査を実施したところ、その付着細菌数は2009年に調査した猫用トイレのそれとほぼ同等であることがわかった。

次に犬用トイレや犬の体表から単離(※混合物の中から目的の物質を分離、取り出すこと)された主要細菌45菌株について調べたところ、犬の体表から検出した「スタフィロコッカス属細菌」が尿中の尿素を分解してアンモニアを発生する能力を持つことを確認。一方、今回の実験では、犬用トイレから採取した細菌は検出限界以下だったという。  

この点について研究チームは、吸水性に優れた高分子からなるシート状の犬用トイレは、排泄された尿がシート内に保持され湿潤した状態が長く続くため、乾燥しやすい体表や猫砂とは異なる環境が細菌フローラに影響、アンモニア発生能に違いが現れた一因となったと推測している。

そして犬の体表と猫用トイレから単離したアンモニア発生能を有する3菌株について、尿の分解によるアンモニア発生能を比較。犬と猫の採取尿と単離した細菌を24時間〜6日間一緒に培養し、それぞれのアンモニア発生量を測定した結果、尿の種類にかかわらず、猫用トイレに付着していた細菌の尿の分解活性は、犬の体表に付着していた細菌に比べて高く、24時間培養時においては犬の尿では20倍以上、猫の尿においては30倍以上も差があることが明らかになった。さらにこの検討より、猫用トイレに付着していた細菌は、犬の尿よりも猫の尿と混合培養したほうが、より多くのアンモニアを発生することもわかったそうだ。

また、尿中の尿素態窒素の正常値が猫は犬よりも多いことも、尿の分解により発生するアンモニア量に差が現れた一因と考えられるという。

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