質素な生活を貫き2億円近い財産、亡くなってから近所の人はビックリ。

2010/10/05 20:27 Written by Narinari.com編集部

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英国に、周囲の人から「極めて質素」と思われながら人生を歩み、生涯を閉じた老夫婦がいる。しかし2人が質素に暮らしていたのは、決してお金がないからではなかった。夫婦は今年2月までに亡くなったのだが、遺した財産は実に140万ポンド(約1億8,000万円)にも及ぶという。

英国で話題を呼んでいるのは、英中部のマージーサイド州サウスポートの療養施設で晩年を過ごした、ゴードン・ハーディーさんとジーンさん夫妻。元公務員と郵便局長という堅実な仕事をしていた2人は質素な生活を貫いたが、そのスタイルは何も仕方なくというわけではなく、2人の信念の結果だった。

ただそんな2人の生活を見て、近所の人は「彼らは充分なお金を持っている」とは、誰も思わなかったらしい。というのも、近所の人が見かけるゴードンさんは「常に同じスーツ」(英紙デイリー・メールより)を着ていたから。また、家には「テレビも無かった」(英放送局BBCより)そうで、誰も2人に財産があるとは夢にも思わなかった、というのが実際のところのようだ。

英地方紙サウスポート・ビジターには、家を売却することを決めた夫妻から25万ポンド(約3,300万円)で購入したテレーズ・ホーンさんのエピソードが紹介されている。ホーンさんが実際に家を見ようと見学に訪れた日、購入希望者が15人ほどいたそうだが、不動産業者から価格の上乗せについて聞かれた妻ジーンさんは「家のまま売れればいい」と返答。それだけ購入希望者がいればもっと高値で売れる――といった欲もなく、金額の上乗せには興味を示さなかったという。

それから夫婦は施設に移り、2年後の2008年にジーンさんは80歳で死去。後見人として、リンゼイ・マクヘイル弁護士がゴードンさんの財産管理を行うようになった。着任早々、様子を伺いに彼のもとを訪ねたマクヘイル弁護士は、部屋には衣服が一切ないことに気付き、スーツが「彼が持っていた唯一の服だった」と話している。また、ボロボロのスーツケースに結婚アルバムと古い写真、4,000ポンド(約52万円)の時計を含むいくつかの骨董品しかなく、あまりの物の無さに複雑な気持ちになったそうだ。

ゴードンさんの生活スタイルは晩年も変わらず、マクヘイル弁護士から毎月20ポンド(約2,600円)の小遣いをもらうだけ。そのうちの9ポンド(約1,193円)は電気代の支払いに消えるなど、あまりに求める金額が少ないことから、何か買いたい物はないか、どこか行きたいところはないかと尋ねると、彼は決まって「お金を使う必要があるのか」(デイリー・メール紙より)と返事してきたという。そんなゴードンさんも、「妻を亡くして途方に暮れた」(英紙デイリー・ミラーより)気持ちも影響してか、今年2月に死去。質素な生活を貫いた結果、140万ポンドもの財産を残してこの世を去った。

生前子どもがいなかった2人は、ボビーという名のプードルを可愛がり、動物好きとしても知られていたそう。そこでゴードンさんは、遺産の使い道について3つの動物保護団体を指定し、分けて寄付するようマクヘイル弁護士に遺言を残したという。

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