世界中から「100万のキリン」届く、友人との賭けでプロジェクト開設。

2010/10/04 19:54 Written by Narinari.com編集部

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国境を越えて、世界中のありとあらゆる情報へ即座にたどりつくことができるインターネットの世界。良くも悪くも、注目される情報ならば瞬く間に多くの人の目に留まり、自分の想像をはるかに超えて広がっていくものだ。しかしごく普通の人が、狙って注目を集められるかというと、実際はそう容易いことではない。ある日ノルウェーの若者2人は、ネットを使って“何でも良いから100万件集る”ことができないかと議論したそう。否定的な友人の意見を前に、もう一方の男性は発奮。彼はキリンの絵を100万枚集めるプロジェクトを立ち上げ、ネットで世界中のユーザーに「送って欲しい」との呼び掛けを始めた。

2009年6月6日、ノルウェー南部のスタヴァンゲルでウェブデザイナーをしているオラ・ヘランドさんは、友人のヨーゲンさんと酒を酌み交わしていた。その席上で始まったのが件の議論。「それはムリだ」と否定的な意見をぶつけるヨーゲンさんに対し、その言葉にカチンと来たヘランドさんは、2011年を迎えるまでに“100万頭のキリンを集める”と彼に宣言し、ビール1ケースを賭けることにした。

もちろん、本物のキリンの話ではない。彼はネットで手描きのキリンの絵を100万枚集めようと「One Million Giraffes(100万のキリン)」(//www.onemilliongiraffes.com/)プロジェクトを立ち上げる。ヨーゲンさんとの酒の席から2日後にはプロジェクトのサイト準備に取り掛かり、同時にTwitterとFacebookにプロジェクトの概要を載せ、呼び掛けを開始した。今年2月に米情報サイトAsylumの取材に応じたヘランドさんは、このとき「20か30くらいは送ってくれるだろうと考えていた」と話している。

しかし、ネットの力は彼の予想を超えていた。呼び掛けの投稿をしたあと昼食を食べに行き、そこから帰ってくると、彼のもとには早くも「5つの国から75のキリンが寄せられていた」という。結局、その日だけで「134の絵が集まった」(英紙デイリー・テレグラフより)そうだ。それからというもの、彼のもとには1日平均で2,000ものキリンの絵が寄せられるほど、プロジェクトは瞬く間に世界へと知れ渡った。

わずか2か月で13万枚も集まったキリンの絵は、その後も順調に増加。プロジェクト開始から440日が経った今年8月には100万枚を突破し、無謀とも思われた賭けに勝った。世界102か国から寄せられた絵の数々は、現在、プロジェクトのサイトに余すことなく紹介されている。

そこに並ぶのは、1つ1つがすべて異なる個性を持ったキリンたち。本格的な描写から子どもが描いたと思われる絵、黄色に限らず赤や緑のキリンなど、表情や視点は千差万別だ。また、募集にあたって決められたルールが「パソコンを使わず、手作りでなければならない」としたため、作品は絵だけとは限らない。

折り紙や積木でキリンを作る人、腕に入れたキリンのタトゥーの写真を送る人など、それぞれがどうお題を解釈したのかが分かるのも、このサイトの面白さのひとつだろう。眺めるだけで充分に楽しい、そんなヘランドさんと世界中の人々の力の結晶を、一度ご覧になってはいかがだろうか。

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