相手の男性を真剣に愛してしまった結婚詐欺師、33歳女性に訪れた結末。

2010/09/10 19:05 Written by Narinari.com編集部

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結婚を餌に異姓に近付き、金銭や物品を詐取する結婚詐欺師。中国には男性を騙して金銭を詐取したものの、その男性のひたむきさに惚れてしまい、さまざまなウソをでっち上げて本当に結婚しようとした33歳の女結婚詐欺師がいる。彼女を待ち受けていた結末は、どのようなものだったのだろうか。


◎2009年9月〜はじまり〜

中国紙広西新聞によると、詐欺のターゲットとなってしまったのは、広西チワン族自治区崇左市で暮らす李という名の26歳の男性。すべての始まりは、李さんが新聞に結婚相手募集の広告を出したことだった。2009年9月、李さんは地元紙に結婚相手募集の広告を出し、大学教員(自称)の江という女性から電話を受ける。2人は電話やショートメッセージで連絡を密に取り合いながら、少しずつだが愛を育んでいった。

しかし、そうした生活が幾月か続き、お互い打ち解けた関係になっても、この江という女性は李さんと一切会おうとはしなかった。2人で会う約束を取りつけても、実際に会う段階になると、彼女は何かしらの理由をつけて断るのが常。そして、そんな江の振舞いに痺れを切らした李さんの家族が、江の所属先である大学に連絡したところ、驚くことに江という女性は実在していないことが判明した。李さんは江に騙されたと思い、彼女との関係を断つことに。2人が知り合って半年以上が過ぎた2010年3月のことだった。


◎2010年4月〜新たな出会い〜

その翌月、李さんは諦めず、2回目の結婚相手募集広告を新聞に掲載。掲載から間もなくして、今度は呉夢●(※女偏に亭。ウー・モン・ティン)と名乗る女性から連絡が入る。呉は李さんに美しいプロフィール写真を送るとともに「25歳の独身女性、大学で先生をしています」と自己紹介。電話やショートメッセージ、チャットを通じて再び2人の男女の関係が始まった。

2010年4月初旬、李さんは呉に会うため、彼女が暮らす街に出向くことを決意。しかし、先の江と同様、この呉も李さんとは会おうとはしなかった。会いたくても会ってくれない呉に、李さんは徐々にフラストレーションを溜めていき、2人は電話口でケンカをするようになってしまう。

そんな矢先のこと。4月23日朝、李さんは意外な相手から一通のショートメッセージを受け取る。それはすでに連絡を断った江からだった。内容は彼女の両親が李さんに会いに訪れるとのこと。そのときすでに江よりも呉にすでに思い入れが強くなっていた李さんは、呉にこの件を知らせることにした。

そして、この報告が2人の関係を急発展させることになる。呉は李さんと江の愛情のもつれを知らされた自分の父親が「心を痛めて自殺した」と涙ながらに話し、3か月後に必ず返すという約束で、李さんに葬儀費用を貸してもらえないかと打診してきたのだ。

李さんは呉への愛情、そして自分も少なからず呉の父親の自殺に関係していることを気にしたのか、彼女にお金を貸すことにした。4月26日、李さんは彼女が暮らす街を訪れ、呉の“代理”として現れた学生の女に36,000元程度の現金が入った口座の銀行カードと、5,000元の現金を手渡すことに。女は「先生(呉)に頼まれて来た」と言い、「先生はとても美しい人」と李さんに話したという。

その翌日、李さんは呉に電話をかけ、「お金は足りたのか」「お父さんが亡くなられた後はどうか」などといろいろと気遣った。すると呉は「大丈夫よ。もしお金が足りなかったら、自分で何とかする。最悪、車を売るわ」と答えたのだが、この健気な態度が李さんの同情を買い、李さんはさらに20,000元の為替を呉に送ることにした。


◎2010年5月末〜誘拐〜

このように実際に会わないながらも、呉との距離を縮め、愛情を少しずつ育んでいった李さん。しかし、2人の出会いから2か月近くが経とうとしていた5月31日の夕方、李さんのもとに1本の電話が入る。電話の相手は呉。これから車を運転して出かけるところだという。しかし、その数時間後にまた呉から電話が入り、とても焦った声で「トイレに行こうと立ち寄った場所で変な人たちに囲まれた」と李さんに助けを求めた。李さんはすぐに「早く車の中へ! 外は危ない」と彼女に指示を出したが、呉が「助けて……」と話したところで電話は途切れてしまう。これに驚いた李さん。すぐに学生の女に電話で連絡し、こちらへ来て一緒に彼女の捜索に向かうように願い出た。

そして、その日の深夜4時、李さんは誘拐犯からショートメッセージを受け取る。それは「呉を返してほしければ、20万元用意しろ」との内容。李さんと学生の女は、誘拐事件として警察に届け出ることにした。

そして6月中旬のある日、李さんはついに呉と連絡を取ることに成功する。呉は自力で誘拐犯から逃げ出したそうで、彼女を誘拐したのは江の関係者で、誘拐の目的は李さんと呉の仲を引き裂くためだったと説明した。


◎2010年6月18日〜再び誘拐〜  

しかし、李さんと呉の“物語”はまだ終わらない。6月18日、ついに李さんは呉と実際に顔を合わせることを約束。同日夜、呉はすでに家を出発し、李さんが暮らす街まで車で向かう途中であることを電話で知らせた。すると、しばらくしないうちに李さんのもとへ再び呉からの電話。彼女は「背後をつけてくる1台の乗用車がある。また江の関係者かもしれない……」と李さんに不安な気持ちを吐露し、その後連絡が途絶えた。

李さんは再び学生の女と連絡を取り、呉の捜索を開始。李さんは19日午後、誘拐犯と思しき人物からのショートメッセージを受信した。しかし、おかしなことに、誘拐犯は身代金ではなく、李さんと学生の女の性的関係を要求。李さんと女が「3回以上性行為をすること」が呉解放の条件であった。仮に李さんと女が性行為を行わなかった場合、誘拐犯は「呉の身の安全は保証できない」とも。翌日の晩、李さんは好きでもない学生の女と性的関係を結ぶほかなくなってしまった。

李さんと女が愛のない性関係を結んだ次の日、誘拐されたはずの呉から連絡が入る。彼女は「誘拐犯を欺き、自力で逃れることができた」と語り、これまた一件落着となったわけだが、数日後、今度は別の問題が李さんを襲う。

それは、呉が李さんと学生の女の“関係”を知り、李さんに女と結婚するよう迫ってきたのだ。初めはこの提案を拒否していた李さん。しかし、呉はなぜか自分の恋人である李さんをほかの女と結婚させようとしており、最終的には「女の親は政府幹部。もし結婚しないならばタダでは済まされない」と半ば李さんを脅迫するかのごとく、女との結婚を迫ってきた。

これについに根負けした李さん。女が妊娠しているという話も聞かされ(後に判明したが、妊娠は嘘であった)、渋々結婚を承諾したのであった。

7月29日、李さんは5万元の結納金を納めることに。また結婚相手である女と相談して、結婚の宴は8月14日に催されることになった。

しかし、結婚を目前に控え、女には不可解な点が幾つか浮上。李さんの家族が「結婚前に両親に会いたい」と告げたところ、女は頑なにそれを拒否した。彼女が言うには、父親は北京、母親は内モンゴルにいて会えないとのこと。それでも李さんらが諦めずに両親との面談を要求すると、女は怒ったように、結納金を返納してきたという。


◎2010年8月〜結末〜

そして、李さんが結婚相手募集広告を新聞に掲載してから1年が過ぎようとしていた2010年8月10日、この長い物語は突如終わりを迎えることになる。李さんと家族が女の身分証を詳しく調べたところ、偽造が発覚したのだ。芋づる式に女の詐欺容疑も明るみになり、8月15日、女は警察に逮捕された。

警察の調べで判明したのは、女は「江」や「呉」をはじめ、誘拐犯、家族など合計7〜8人に扮して李さんとのやり取りを続けていたそうだ。これまでに起きた出来事はすべて女が一人で行ってきたもの。彼女は最初、金銭を騙し取ろうとして李さんに近付いたものの、いつしか李さんのひたむきさに心が惹かれるようになり、本気で李さんと結婚しようと考えるようになったという。

そして、自ら李さんと性行為を持てるようなシチュエーションを用意し、妊娠を偽り、結婚を強いたものの、結局は失敗。あの手この手で人を欺いてきた彼女でも、“自分の気持ち”だけは欺くことができなかったというのは、何とも皮肉な話だ。

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