公園になった“トトロの住む家”、宮崎監督デザインの「Aさんの庭」訪問。

2010/08/30 18:32 Written by Narinari.com編集部

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東京・杉並の住宅街に、かつて“トトロの住む家”と呼ばれた木造平屋の古い洋風住宅があった。宮崎駿監督が著書の中で「トトロが喜んで住みそうな家」と紹介したことで、近隣住民から親しみを込めてそう呼ばれていたのだが、6,300余の署名による保存運動を経て杉並区が公園として整備する計画を進めている最中の昨年2月、不審火により焼失。その後、宮崎監督がデザインを提供し、再び公園計画が始動、晴れて7月25日に「Aさんの庭」としてオープンした。どのような公園となっているのか、見ていくことにしよう。

焼失する前の“トトロの住む家”は1924年(大正13年)に、東京市(当時)震災復興局で都市計画に携わっていた近藤謙三郎氏が設計した住宅で、庭にはバラが一面に植えられていたことから“バラの家”とも呼ばれていた。しかし、昨年の火災により住宅部分が焼失。住宅の保存を目的に計画されていた公園計画は一旦は頓挫するかに思われたが、火災を知った宮崎監督から公園デザインの提案の申し出があり、提案された公園の基本構想やイメージスケッチをもとに完成したのが「Aさんの庭」だ。(※公園整備前の“トトロの住む家”の様子はGoogleストリートビューで見ることができる。2010年8月30日現在

「Aさんの庭」はJR阿佐ヶ谷駅の北、徒歩13分ほどのところにある(東京都杉並区阿佐谷北5丁目45番13号)。ちょっと変わったこの名称は宮崎監督の提案を受け、地域住民と共に決定したもの。「Aさん」は「公園に来る皆さん」を指している。

公園の特徴は大きく2つ。ひとつは焼失した住宅で使われていた赤い屋根瓦の一部を使用した、防災倉庫併設のトイレ。まだ真新しい建物なので旧住宅のような趣深さは当然ないものの、茶色の外壁と白い窓枠がかわいらしい佇まいを見せている。そしてもうひとつが火災後もそのまま残されている庭だ。庭ではクヌギやキンモクセイなど、100種類以上の木や花々を四季折々楽しめる。

公園の維持・管理は杉並区と、すぎなみ公園育て組「チームA」が担当している。「Aさんの庭」を訪れた際にも、2人の方が庭に水やりをしているところに遭遇した。毎日欠かすことなく、手入れをしているそうだ。

地域住民に愛されながら、憩いの場としての空間となっていくであろう「Aさんの庭」。まだ一歩を踏み出したばかりだが、末永く親しまれる公園に育って欲しいものだ。



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