救助後はサンドイッチ手に颯爽と帰る、少年と犬を救った非番の消防士。

2010/08/24 12:54 Written by Narinari.com編集部

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通っているジムに行ったら「近所で火事だ」との知らせを聞いた非番の消防士。彼は消防車よりも速く火災現場に駆けつけて15歳の少年と犬を救出し、その後、注文していたサンドイッチを受け取り帰っていった――。そんなニューヨークの消防士が話題を呼んでいる。

米紙ニューヨーク・デイリーニューズによると、この男性は2年前からニューヨークで消防隊員として働くロバート・ムーアさん。もともと市消防局の救急隊員を務めながら、「いつもなりたかった」という消防士の夢を叶えた26歳だ。   

この一件は8月9日の朝に起きた。地元のスポーツジムで汗を流したムーアさんは、近くの店にサンドイッチを注文するため、ジムのフロントへと向かう。そのとき、職員から近くで火事が起きたとの知らせを聞いたそうだ。

「ゴミが燃えているくらいだろう」と軽く考えていたムーアさんだが、その日は非番ながらも本職とあって、すぐに火災現場へ急行。到着してみると、2階建ての家が燃え上がっており、玄関からは火が噴き出していた。すると火災を見ていた人から、「中にまだ誰かいる」との知らせ。消防隊も到着していない現場で、ムーアさんは素早く家に近寄っていった。

そして、2階の窓から悲鳴と共に助けを求める少年と犬の姿を発見。黒い煙は少年の後ろからもうもうと噴き上がり、すでに顔が真っ黒だったという姿を見て、ムーアさんは救出を決意した。助けるための道具がないか、辺りを見回すと長さ約3.5メートルのはしごを発見。2階の窓に行くには1メートルほど足りなかったが、「ほかに方法はない」と思ったムーアさんは、そのはしごを使うことにする。

いざ登ってみると中途半端に高さが足りず、不安定なはしごの上で姿勢を保つために両手は窓枠を掴むので精いっぱい。そこへジムの職員と、ムーアさんが注文したサンドイッチ店の店主がはしごのたもとにやって来て、助っ人に加わった。安定性はこれでバッチリ。ムーアさんはまず犬を救い出して店主へ渡すと、今度は少年を救おうと取りかかる。しかし、犬と違って少年と一緒にはしごを降りようとすれば「バランスを崩す」と感じたというムーアさんは、窓から身を乗り出す少年に「肩に乗れ」と指示した。

のしかかる重さにもバランスを必死に保ち、ムーアさんは何とか無事に少年を救出。非番ながらも本職の仕事をやり遂げた彼は、火災はようやく現れた消防隊に任せ、今度は救護隊員としての腕を活用する。消防隊のトラックにあった医療器材を使って、少年が腕に負った火傷の治療と酸素吸入処置を施した上で、救急車に乗せた。その甲斐あってか、少年の体調は現在順調に回復に向かっているそうだ。

こうして一仕事をやり遂げたムーアさん。救助活動を終えると、注文していたサンドイッチを手に、颯爽と家に帰ったという。

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