「新たな心臓が届くよう祈って」風船メッセージが“ザック”つなぐ。

2010/08/23 15:00 Written by Narinari.com編集部

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米ニューヨーク州のある男性は、先日、メッセージが付いている風船を自宅の建設現場そばで見つけた。そこに書かれていたのは、新たな心臓を求めている“ザック”のために「祈ってください」とのお願い。男性は“ザック”の正体がわからないまま、彼のために祈りを捧げたが、次第に相手のことが気になるようになり、メディアの力を借りて捜してみることにした。

米紙ピッツバーグポスト・ガゼットによると、風船を拾ったのはニューヨーク州に住むクリス・コーマニョスさん。彼は8月14日、カナダ国境沿いの街メッサナにある自宅建設現場のそばで、緑色の風船を拾ったという。よく見ると、風船のひもにはメッセージが付いており、そこには「私たちはザックを愛しています。彼に新しい心臓が届くよう、あなたもピッツバーグのザックに祈りを送ってください」と書かれていた。

いったい“ザック”は誰なのか、ペンシルバニア州から800キロ以上も飛んできたのか……と、思いを巡らせたコーマニョスさんだったが、メッセージには身元に繋がる情報は一切なし。そこで妻らと共に教会にしばらく出向き、メッセージの通りに、“ザック”のために祈りを捧げたという。

しかし、やはり“ザック”の正体が気になって仕方がなかったコーマニョスさんは、ザックがいるはずの街で発行している新聞社、ピッツバーグポスト・ガゼット紙などに連絡を取ることにした。

同紙はその求めに応じ、8月16日にコーマニョスさんの記事を掲載。ほどなくして1人の母親が名乗り出た。彼女はピッツバーグ近郊の街キャリックで、拡張型心筋症と戦う9歳の少年ザック・マルヴェイくんの母親、クリスタルさん。このザックくんは生まれつき心臓が悪く、1歳を待たずに心臓移植手術を経験し、その後しばらくは平穏な日々を過ごしていたそうだが、今年5月に心停止の状態に陥り、6月19日に再び心臓移植手術を行ったという。ザックくんの容態は依然予断を許さない状況だが、そんな中で風船の話題を新聞で目にした家族は、「ザックは彼のことだ」と思ったようだ。

風船を拾ったコーマニョスさんの祈りに、母クリスタルさんは感謝。コーマニョスさんも「彼がベストになることを願うだけだよ」と、“ザック”の正体がわかりホッ……とできるかと思われたが、実はまだ謎が1つ残っていた。風船はクリスタルさんが飛ばしたわけではなく、また、誰が飛ばしたのかも分からないという。しかし、この風船には別の願いが込められていたことが明らかになるまでには、そう時間はかからなかった。

8月19日付けのピッツバーグポスト・ガゼット紙によると、風船を飛ばしていたのは、メッサナの南西にあるロチェスターという街で、拡張型心筋症と戦い、心臓移植手術を待つ13歳のザック・サイドくんの家族や友人だったことが判明。こちらのザックくんは今年7月から、偶然にも先の9歳のザックくんが手術を受けた病院に入院中で、彼の応援をしようと家族らが10個の風船を飛ばそうと計画したものだった。

ところが風船の中に、ザックくんの名前を「Zak」と書かなくてはいけないところを、「Zach」とスペルミスしたものが紛れ込んでしまう。これが、風船を拾ったコーマニョスさんと9歳のザックくんを繋げるきっかけになったというわけだ。

スペルミスが招いた思わぬ結果。しかし風船を飛ばした一人で、13歳のザックくんの母親の友人は「メッサナからの祈りはピッツバーグに届いた」と、コーマニョスさんに感謝している。一方、9歳のザックくんにも風船の“真実”は耳に入り、母クリスタルさんによれば、彼は13歳のザックくんに会って「良くなるよ」と伝えたがっているそうだ。

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