巨人のような“人型”の鉄塔案に注目集まる、米国の建築事務所が考案。

2010/08/18 12:38 Written by Narinari.com編集部

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鉄の骨組みだけという、無機質な姿でジッとたたずむ送電線の鉄塔。そこに美しさを感じ、“鉄塔好き”を公言する人も少なくないが、基本的にはどれも似たようなスタイルで、デザイン性が加えられる余地はあまりないと考えがちだ。しかし、アイスランドの電力会社は以前、そんな鉄塔のデザインを募るコンペを実施。これに米国の建築事務所は“人型”デザインを提出し佳作となったのだが、先日別のコンペで受賞したことをきっかけに注目を集めている。

英紙デイリー・テレグラフによると、この“人型”デザインを生み出したのは米国の「Choi+Shine Architects」という建築事務所。そもそもは2008年3月、アイスランドの電力会社が行った鉄塔のデザインコンペに出品されたものだ。建築事務所公式サイトの説明では、「物理的、コスト面において建設可能で、耐久性のある鉄塔」のアイデアを生み出すのがコンペ参加の条件だったそうで、その答えとして導き出したのが“人型”の「The Land of Giants」だった。

「The Land of Giants」は「(イースター島のモアイ像のように)偶像的な鉄塔を建設しよう」と考えたものだという。従来の鉄塔よりもコストを軽減できるほか、1基ごとに容易にポージングできる点も売りの1つになっている。

事務所の公式サイトでは、“人型”の鉄塔が送電線を持って今にも歩き出しそうな姿や、両手で力強く持ち上げている姿など、さまざまなイメージを見ることができる。また、腰や胸のラインの骨組みを変化させることで、男女の区別をつけることも。まるで夫婦のように2基の鉄塔が並んだイメージなど、現実にこうした鉄塔が立っていたら、風景が一変するほどのインパクトと面白みがあるのは間違いない。

電力会社のコンペでは佳作と評価されたものの、残念ながら建設対象作品には選ばれなかった。ところが先日、Boston Society of Architects(ボストン建築家協会)が開いたコンペ「2010 Unbuilt Awards」で、この作品が4つの入賞作のうちの1つに選出。2年越しで、デザインのインパクトが評価された形となった。

これにより、建築情報系だけでなく欧米の一般メディアも「The Land of Giants」を紹介。一気に認知度は高まってきているようだ。果たして、この鉄塔案を採用する会社は現れるだろうか。

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