「自宅にテレビ設置」を禁止するトルコの村、住民の総意で伝統守る。

2010/08/09 16:12 Written by Narinari.com編集部

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どんなに近代化が進み、便利な電化製品が世に溢れていても、昔と変わらぬ生活がしたい――。そんな思いを頑なに守り続ける村がトルコにあるという。約500人が暮らすこの村では住民同士が助け合い、伝統的な暮らしをするのが一番の幸せ。そのため、住民同士の結びつきを弱め「地域の関係に影響を与える」として、家にテレビを置くことも禁止しているそうだ。

トルコ紙Hurriyetによると、この村はトルコ北東部のリゼ県にある、Senyuvaという山間の谷に開かれた自然豊かな場所。村では150世帯、約500人が生活をしているそうだが、彼らは村の近代化を全く望んでおらず、伝統を守る意識が極めて強い。携帯電話やインターネットで情報が氾濫する世の中にあって、彼らが情報を入手するのに用いるのはラジオ。時間があれば住民同士が顔を合わせて会話し、毎日「フォークソングを歌って伝統のダンスを踊っている」生活だ。

テレビを置かないと決めたのも、そうした生活を守るため。近所付き合いが悪くなってしまうからと、村民たちが自らルールを定めた。このため村にあるテレビは、観光客が泊まるホテルにしかない。そのテレビを見るのに必要な電気を通すことでさえ、住民らは強い反対を示したそうだ。

その理由は「電線が通れば、谷の景観を損なう」ためで、住民は「それまで通り、ガス灯を使い続けたい」との意見で一致。反対署名を集めて提出したが、結局、電線は地中を通す案が示されたことで受け入れを決めた。ほかにも「空気が汚れる」として、村はおろか、谷から500メートル以内の道路建設も拒否。さらには「これ以上家はいらない」と、村に建てられる家の数を現在すでにある150軒に制限し、実質的にほかの地域からの住民流入を不可能にしている。

それほどまで、頑なに村の文化を守るSenyuva村。電気が通じるようになった今でさえ、「谷を訪れる人々は、私たちに電気がないと思っている」というほど、伝統的な生活を続ける村民たちは、昔から守ってきた土地で自然と暮らす生活の喜びを感じているようだ。村長は「私たちはお互いの家を行き来して思い出を共有する。もし天気が良ければ夕暮れを見るものさ」(Hurriyet紙より)と、その想いを説明している。

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