山で60年前の手紙の束を発見、1950年に墜落した飛行機の積み荷だった。

2010/08/05 13:40 Written by Narinari.com編集部

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イタリアとフランスの国境に位置し、アルプス山脈の最高峰としてそびえ立つ山・モンブラン。先日、地球温暖化の影響を調べるためにこの山を登っていた大学のパーティーが、標高2,300メートルの地点で手紙の束を発見した。それはさかのぼること60年前、モンブランに墜落した飛行機が積んでいた郵便物。保存状態が良いものがあったことが幸い、大学側の捜索によって、いま、手紙の関係者のもとへと届ける作業が進められている。

英ニュースサイトのクーリアーや英紙スコッツマンなどによると、この発見をしたのは、ダンディー大学のパーティーの一員としてモンブランに滞在していた3年生のフレイア・コーワンさん。彼女は標高2,300メートル地点での調査中にトイレに行きたくなり、パーティーから離れた場所へ移動し、そこから戻る途中で解けた氷の間から青いカバンが顔を覗かせていることに気が付いたという。

カバンの中に入っていたのは手紙の束。それらすべてに「ボンベイ・1950」(※ボンベイは現在のムンバイ)の消印があり、なにか重要なものだと察知したコーワンさんらは手紙を回収し、下山したあとホテルで確認作業を行った。

その後の調べでわかったのは、手紙の束は、かつてモンブランに墜落した飛行機の積み荷で、インドから英国を経由して米国に運ばれる途中だったということ。1950年11月3日、インドのムンバイからロンドンへと向かっていたインド航空245便がモンブラン頂上付近の4,810メートルに墜落し、乗客・乗員48人が犠牲となる事故が起きた。事故当時、捜索隊の手によって手紙の一部は回収されたものの、今回発見された郵便物は回収には至らなかったもののようだ。

コーワンさんによると、手紙を見つけた周辺には「金属の破片が散らばっていた」(クーリアーより)そうで、今回は氷が解け、地表が顔を出す夏だったことが発見に繋がった可能性が高い。しかし、発見されたのは墜落現場とされる場所から2,500メートルも下った地点。この点について同行していたティム・リード博士は、60年という歳月が流れる中で「残骸の多くが氷河によって下へと運ばれてきた」(同)と見ている。

英紙デイリー・テレグラフによると、見つかった手紙は75通の手紙やバースデーカード。保存状態が良好なものもあるため、彼らは少しでも宛先の関係者に届けたいと、新たなプロジェクトを始めている。すでに、手紙に書かれていた情報をインターネットで検索するなどして、数人には連絡が取れたそう。残りについても大学側で手紙の状態保存処理が終わり次第、リード博士は「(関係者に)近いうちにも送りたい」(クーリア―より)とのことだ。

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