59年間文通続けた2人が感激の初対面、生活環境の変化も乗り越え交流。

2010/08/02 17:24 Written by Narinari.com編集部

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見知らぬ相手に手紙を出す文通は、メールと違い相手の反応が返ってくるのは早くても数日先。その分、直筆で書かれた一言一言に強い想いが込められるのが良さのひとつだが、一方である程度の文量と手間が必要になるため、いつの間にか音信不通になって関係が途絶えることも珍しい話ではない。しかし米国では、59年間もの長きにわたり文通を続けてきた80歳の元兵士と69歳の元女学生がいる。そんな2人がこのほどついに初対面を果たし、話題を呼んでいるようだ。

米紙ポコノ・レコードによると、この2人は80歳で元兵士のオーヴィル・シューマッハさんと、69歳の元女学生バーバラ・ロールさん。2人が文通を始めたきっかけは、59年前の1951年まで遡る。

当時、ニューヨークにある小学校の5年生で11歳だったバーバラ・ゴラルスキーさんは、学校の取り組みで朝鮮戦争に派兵されている兵士に手紙を書くことになった。先生は相手をランダムに選ぶよう指示し、彼女がたまたま選んだのがシューマッハさんだ。

当時のシューマッハさんは、ネブラスカ州ハーティントンから朝鮮戦争の戦地となった朝鮮半島へ派兵されていた21歳の兵士。1951年頃の朝鮮戦争は38度線近辺で一進一退の攻防が繰り広げられていた時期で、シューマッハさんも時には前線に駆り出されていたようだ。

そんな最中でも、ゴラルスキ―さんの手紙を受け取ったシューマッハさんは返事を書いた。片や戦場の日々、片や生活の日常という極端に離れた現実を書き綴る手紙のやり取りから始まった文通は、シューマッハさんの帰国後も続行。しかし、お互いが成長して生活環境が変化すれば、いろいろと忙しい時期も出てきて文通が滞ってもおかしくはない。それでも2人はクリスマスカードで近況報告を行うなど、交流を続けた。

こうして文通開始から59年の月日が流れ、少女と青年だった2人もすっかり良い年齢になり、80歳を迎えたシューマッハさんは「もし彼女に会うことがあるとすれば、今しかない」(米紙ニューヨーク・ポストより)との想いに至ったそう。そして先日、現在もハーティントンに住むシューマッハさんは妻と娘を連れて、今はロールさんという名前になった女性に会うためにペンシルバニア州を訪問し、ついに2人は初対面を果たした。

それまで筆跡は知っていてもお互いの写真を見たことがなく、ロールさんを「小さくてぽっちゃりしてる人だと思ってた」というシューマッハさんだったが、実際に目にした彼女は69歳とは思えないほどスマート。しかし、フィラデルフィア国際空港で目と目が合うと、分かっていたかのように「ハグを交わした」というから、59年の交流は伊達ではなかった。「彼女に会うなんて考えてもなかった」とシューマッハさんが話せば、ロールさんも「特別な日」と、2人とも対面に感無量だったようだ。

それまでできなかったことを楽しむかのように、今後はお互いの家族と一緒にペンシルバニア州内の旅行など、いろいろな予定を組んでいるという。ロールさんは「私たちは今、本当の知り合いになれたのよ」と語り、59年来の文通相手が“友人”になったことを喜んでいる。

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