住民に愛される小さな島のバス停、海外から観光客が年間数千人訪問。

2010/06/19 17:34 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


英スコットランド北東部に浮かぶ小さな島・アンスト島には、ちょっとした観光スポットがある。それは“英国一豪華なバス停”で、待合小屋の中には、住民が持ちよったソファーや絵、テレビや電話などがきれいに並べられ、まるで家にいるかのよう。時にはここでイベントも開かれるというほど人々が集まるこのバス停がいま、W杯を祝う内装になったと英メディアで話題を呼んでいる。

アンスト島は英国でも最北端に位置する、住民614人の小さな島。そこに、年間数千人の観光客を呼び寄せるというのが話題のバス停だ。英紙デイリー・メールに掲載された写真を見ると、バス停周辺はどうやら荒涼とした土地が広がっている様子。そこにぽつんと立っているオレンジ色の待合小屋は、さながら中が見える物置のようだ。しかし、わざわざバス停目当てで訪れる客もいるとあって、その中の充実ぶりはほかのバス停とは訳が違う。

狭いスペースをフル活用するように、中には2人掛けのソファー、テーブルに置かれたテレビと電話。ソファーの横に置かれた台には装飾品が並び、飲み物の絵らしき物も飾られ、さらに小屋の中と外にはプランターと、快適に時間を過ごせる個室のようになっている。現在はW杯仕様というだけあって、ボールを蹴っている人が描かれたソファーのクッションや日よけの小さなカーテンが飾られており、住民の気持ちが存分に伝わってくるものだ。

バス停の公式サイト「The Unst Bus Shelter Website」によると、今のような充実ぶりとなったのは1996年から。このバス停を利用する7歳の少年が、荒れ果てた待合小屋の実情を地元紙に訴えたところ、自治体側に声が届いて新たな小屋が建てられたという。すると、ソファーやテーブルを持ち込む住民が現れたのをきっかけに、一部住民の間で小屋の設備が整えられていったそうだ。

現在では、電子レンジまでも用意されているというこのバス停。「電気は通ってない」場所のために発電機を備え、冬には豆電球によるライトアップも行われている。たびたびメディアでも取り上げられており、バス停目当てに訪れる観光客も少なくないという。その人気はFacebookにページも作られているほどで、数々の観光客が滞在を楽しむ様子を写した写真も並んでいる。

住民の1人で21歳のボビー・マコーレーさんは「今では世界中から人々がやってくる」と話し、多くのツアーバスも押しかける人気ぶりとのこと。当然、住民にとってもバス停は大切な憩いの場になっており、バス停でイベントが開かれる様子も公式サイトで見ることができる。そんな、人を結び付ける小さな島の観光スポットも、いまはW杯の熱気に包まれているようだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.