放送事故の間にまさかのゴール、W杯中継に視聴者激怒の一方で喜ぶ人も。

2010/06/15 14:54 Written by Narinari.com編集部

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6月11日から始まった、サッカーW杯南アフリカ大会。酷評続きだった日本代表は14日の初戦でカメルーンを1-0で降し、待望の勝利に興奮した人も多いことだろう。今やオリンピックを超え、全世界から最も視聴者を集めるソフトになっているW杯。常に試合が動き、目が離すことができないだけに、テレビ中継が少しでも中断しようものなら、放送局にクレームが寄せられたとしても仕方がないかもしれない。12日に自国代表戦を中継した英放送局ITVは、そんな大失態を最も肝心な場面で起こしてしまった。前半開始早々、人為ミスにより20秒あまり放送が中断した間に、イングランド代表が先制にして唯一のゴール。ほとんどの視聴者が怒り、落胆したものの、一方で中には喜ぶ人もいたようだ。

今大会グループCに入ったイングランド代表は、12日に行った米国との試合が初戦。圧倒的な強さで欧州予選を突破しただけに、大会にも熱い期待を寄せる1,650万人の英国市民が、テレビやスポーツパブなどで観戦したという。ところがITVの中継で試合を見守った150万人は、試合開始早々にあり得ないシーンを目撃するハメに。その瞬間の映像が、YouTubeにも「England's and ITV's first World Cup 2010 HD goal.....WORTH WAITING FOR!!!!!」(//www.youtube.com/watch?v=uCb9UspoP6g)などのタイトルで投稿されている。

前半3分20秒過ぎ、イングランドの選手がスローインをするシーンで、映像はなぜか車のCMに切り変わった。CMは10秒あまりで終わるが、その後も画面はグレーのまま。そして約20秒後、再開した中継には普段厳格なファビオ・カペッロ監督の笑顔が映し出され、続いて選手たちが抱き合って喜ぶシーンが流れている。このわずか20秒の間に、イングランド代表にとってこの試合唯一の得点となったスティーブン・ジェラード選手(リバプール)のゴールが生まれてしまい、視聴者は決定的なシーンを見逃すハメとなった。

結局、試合は前半40分に米国に追いつかれ、イングランドはドロー発進。ITVのハイビジョン中継を見るために新たにテレビを買った人もいるそうで、貴重なゴールシーンを見逃した視聴者達は激怒しているという。

英紙デイリー・テレグラフは、ITVのFacebookページにファンから「ITVはサッカー中継する資格はない」「4年待ったのに、ITVはまためちゃくちゃにするのか」などと書き込まれたと報道。実はITVは昨年も、エバートンとリバプールのダービー対決となったカップ戦・FA杯の決勝中継で、エバートンの決勝ゴールのタイミングでCMを流すという同じ失態を演じていた。こうした過去もあって、視聴者の怒りがさらに爆発してしまったらしい。

ITVは今回の失態について、中継に関わった局外部の技術者による「人為ミス」と発表し、全面謝罪。英紙デイリー・ミラーは「オペレーターが間違ったタイミングでスイッチングしたことで発生したのでは」と、CMが挿入されてしまった理由を推測している。

ITVとしては代表に今後一層活躍してもらい、市民の怒りが収まって欲しいところ。その一方で、今回のアクシデントにニンマリしている市民も中にはいるようだ。

英紙サンはブックメーカー「Paddy Power」が「ITVの試合中継で中断が起きる」との賭けを行っていたと紹介。8倍というオッズ設定に数十人が申し込んでおり、すでに支払いが行われたそうだ。Paddy Powerの関係者は、初戦での賭け成立に「こんなに早く起きるなんて思ってもなかった」とコメント。本来ならばあり得ないハプニングすらも賭けの対象になっていたというのが、なんとも英国らしい話だ。

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