自殺直前に出会った2人が結婚へ、人生のどん底が一転ハッピーエンドに。

2010/05/14 16:10 Written by Narinari.com編集部

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自ら命を断つという決断に至るまでには、その人にとって相応の深い傷や葛藤があるだろう。仮に踏みとどまったとしても、その状態から立ち直るには、相当の時間を要するであろうことは想像に難くない。しかし、ともに自殺を考えていたロシアの若い男女の場合は、心の傷を一瞬で吹き飛ばすほどの“運命”と感じる出会いによって、幸せの世界へと急激に舵を切り直すことができたという。  

英紙サンなどによると、ロシア中西部ウファに住む26歳のアンドレイ・イヴァノフさんは、幸せの絶頂が一転、突然の不幸に襲われた。最愛の婚約者との結婚式を翌日に控えたある日、彼女が自動車事故に遭い、この世を去ってしまったのだ。予想だにしなかった出来事に茫然自失となったイヴァノフさんは、彼女のいない世界を受け入れられず自殺を決意。街を流れる、氷に閉ざされたベラヤ川に身を投げようと、失意のまま橋へと向かった。

水面からの高さは約30メートル。橋から飛んでしまえば、凍った水面に体を打ちつけられ、命を落とすのは間違いない。先に天国へ行ってしまった婚約者を追うべく、イヴァノフさんは橋に到着した。そして残すは飛び降りるのみとなったとき、彼の目に入ってきたのは1人の女性の姿。見ればまだ若いその女性は、まさに橋の欄干を乗り越えようとしており、イヴァノフさんの目の前で自殺しようとしていた。

自殺のためにやってきた橋で、他人が自殺する現場を目撃するという皮肉な事態に陥ったイヴァノフさん。そのときの気持ちについて、「心の中で何かが鳴った。そして、どんなに僕が失意にあったとしても、彼女を自殺させてはいけない」(サン紙より)と思ったそうだ。自分の自殺は二の次になってしまった彼は、飛びこもうとする女性に「ストップ!」と叫び、慌てて彼女の元へ駆け寄った。

先に飛び降りようとしたこの女性は21歳のマリア・ペトロヴァさん。赤ちゃんを身ごもっていた彼女は、話を知った両親に激怒され、勘当されてしまったそう。行くあてもなく絶望を感じ、イヴァノフさんよりわずかに早く橋に到着。そして、自殺しようとしたところを運よく彼に発見され、自殺を踏みとどまった。ペトロヴァさんは、欄干を降りると駆け寄ってきたイヴァノフさんの腕の中に飛び込み、安心したかのように号泣したという。

元は深い傷を負った者同士、結局自殺に至らなかった2人はその日、夜遅くまで前向きな話を重ねた。「お互いの傷を癒しあおう」と約束した2人は、そのまま恋人の関係に発展。お互いの家族に経緯を話した後、結婚する予定だという。悲しみの現場となるはずだった場所で見つけた運命の出会いに、イヴァノフさんは「私と彼女の命が救われた夜だった」と、今は幸せいっぱいの様子。一方のペトロヴァさんも「アンドレイに引き合わせてくれたんだから、心の傷も無駄じゃなかった」と語り、ともに明るい未来を見据えられているようだ。

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