「双子の親」を守るため子ども誘拐、背景にメンツを重んじる中国文化。

2010/04/26 11:31 Written by Narinari.com編集部

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中国人の行動原理として、重要な位置を占めると言われるメンツ。メンツを重視するがあまり、逆にメンツに支配され、誤った行動に出るというニュースは中国内でしばしば報じられている。例えば「恋人に高いモノを買ってあげるために詐欺事件を繰り返す」「メンツのために高級車購入も借金返済できず何度も窃盗」といった具合だ。そして、今回報じられたのはメンツのために子どもを誘拐してしまった男の話。そこまでして守ろうとした彼のメンツとは、いったい何だったのだろうか。

中国紙斉魯晩報によると、誘拐事件を起こしたのは山東省徳州市で暮らす王という人物。王には長女と双子の男の子がいたが、双子のうちの一人が脳性マヒとの診断を受け、医師から「長生きできないだろう」と宣告されていた。そこで王が考えたのが代わりとなる子どもを誘拐するという計画。4月17日、孫を連れた老人に道をたずねるフリをして近づき、そのまま子どもを奪い、車で走り去ってしまったのだ。

王はそれまで、平凡ながらも幸せな人生を歩んできた。しかし“双子の親”になったことから、周囲からもてはやされるように。王は双子の一人を病気で失うことで、周囲から見向きもされなくなったり、笑い物にされたりすることを恐れて犯罪行為に走ったという。結局、誘拐の数日後に王は逮捕され、誘拐された子どもは無事に保護された。

中国の農村部では後継ぎ問題や一人っ子政策などの影響から、女の子よりも男の子が重宝される傾向がある。また、双子や三つ子の場合、一人っ子政策下でも合法的に複数の子どもを産むことが可能だ。そのため、双子の男の子への羨望の眼差しは日本の比ではない。王が具体的にどのようなもてはやされ方をしてきたのかは伝えられていないが、今回の事件は「中国のメンツ文化が色濃く影響している」という見方をする人が多いようだ。

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