「処罰に不満はないけど、ただただ驚くだけ。警察官は家族に笑い話として聞かせるために自分を逮捕したのではないだろうか」（英紙デイリー・メールより）。そう語るのは英国のエセックス州に住む、電気エンジニアリングを学んでいる40歳のポール・ハットンさん。彼は先日、飲酒運転の現行犯で捕まり、その処罰として3年間の免停（ただし、12か月の条件付き免責あり）を課されました。確かにポールさんは逮捕時に、体内のアルコール濃度が法律で運転を許されるレベルの2倍でしたが、彼が運転していたのは通常の自動車ではなく、子どもが乗って遊ぶ電動トイカーだったのです。

ポールさんはさかのぼること10年前、捨てられているトイカーをたまたま見つけ、ずっと保管していたそう。そして8か月ほど前から、エンジニアの学校に通う17歳の息子と、トイカーの修理プロジェクトを開始しました。

修理の甲斐あり、トイカーは時速6キロほどのスピードで実際に動くように。ポールさんはこの成功を友人に見せたくなり、ある日お酒を飲んだ後、友人宅までこのトイカーで行くことにしたのです。そう、大きな大人の体を小さな車に押し込んで……。

しかし、公道で大人がトイカーを運転しているという奇妙な光景に出くわした警察官は、すぐに停車命令を出しました。ところが酔いの回っていたポールさんはこれを無視してそのままゆっくりとしたスピードで“逃走”。警察官はパトカーで横にピッタリと張り付き、「何が起こっているんだ。大丈夫か」と問いただし、ようやくトイカーを止めたそうです。

そしてポールさんは飲酒状態であることに気が付いた警察官によってその場で逮捕。地元警察署に連行されました。

後日裁判所に出向いたポールさんは、以前にも飲酒運転をしたことがあり、今回は再犯であるとして、3年間の免停という重い処分に。この判決を言い渡した裁判官も「こんな事例は15年間の裁判官生活で初めてのこと」と、驚いているそうです。