飼い犬の選挙出馬を目指す男性、役所から拒否されるも諦めない真意は。

2010/04/21 16:19 Written by Narinari.com編集部

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10月に行われるカナダのある首長選挙に、意外な候補者を立てようと画策中の男性が注目を集めている。その候補者はなんと男性の飼い犬。先日、立候補者の登録のため役所に赴いたところ、「人ではないから」との理由であっさり拒否されたが、男性はまだこの計画を諦めていない。なぜ、男性は飼い犬を立候補させようとしているのだろうか。

この男性は、オンタリオ州クラリントンに住むマーヴェン・ウィッデンさん。4月19日、電力会社に勤めるウィッデンさんは、飼っている3歳メスのラブラドールレトリバー、ジェニーを連れて役所に向かった。ウィッデンさんの目的は、10月25日に行われる街の首長選挙にジェニーを立候補させること。すでに自身のブログで意思表明していたこともあり、役所には「リポーターとカメラマンのグループ」(カナダラジオ局680ニュースより)が待ち構えていたそうだ。その注目度に驚きを示しつつも、ウィッデンさんはジェニーを外に待たせ、役所の中に入った。    

しばらくして意気揚々と現れたウィッデンさんだったが、待ち受けていたのは「残念ながら、犬の登録は受け付けていない」(カナダ紙トロント・スターより)という役所の返事。極めて予想できる対応だったが、役所から出てきたウィッデンさんはまだジェニーの立候補を諦めていなかった。待ち受けた報道陣にウィッデンさんは、今後“プランB”を発動すると宣言。「議会への嘆願書提出や、投票用紙にジェニーの名前を書き込むよう呼び掛けるキャンペーン」を行うとしている。

ジェニーを立候補させようと、頑なに姿勢を崩さないウィッデンさん。実はこの計画の目的は、議員たちの仕事ぶりへの不満と、選挙への関心集めにあるという。ウィッデンさんは、地元議員たちの働きぶりについて「半分は自分の仕事をこなしていない」とピシャリ。さらに、彼は選挙の大きな争点に、建設が決まった焼却施設の問題があるとの認識を示し、街の多くの人が反対してるにも関わらず建設を決めたとして、現首長や議会の議員たちを問題視。「反対する人の多くは投票に行かない」と見ており、反対票の受け皿として首長選にジェニーを立候補させたいとの意向を話している。

こうしたウィッデンさんの考えに、賛同する人も現れているようだ。トロント・スター紙は「数人の通行人は、すぐに彼らの支持を誓った」としているほか、直接選挙への影響はないものの「考えを記したブログには、インドからも続々支持を集めた」と伝えている。一方で、首長選の候補者の1人は「最初は面白いと思ったが、実際に候補者登録が退けられたのは喜ばしい」(カナダ紙トロント・サンより)とコメント。真剣に出馬を目指す政治家の間では、ウィッデンさんの行動が快く思われていないようだ。

それでもウィッデンさんは、「私の犬は、人々の選挙への関心や投票意識に対し、これまで広告企業がやってきたものよりも多くの効果を得ている」(トロント・スター紙より)と、手応えを掴んでいる。注目の選挙はまだ半年も先。少なくともクラリントンでは、この活動が続けられる限り、ウィッデンさんとジェニーに対する注目度がまだまだ高まっていくのは間違いなさそうだ。

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