和式と洋式が合体? 大手メーカーもわからない謎の「2WAY便器」を求めて。

2010/04/19 15:45 Written by Narinari.com編集部

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先日、ナリナリドットコムの中国特派員が広東省深セン市のあるホテルに宿泊したとき、見慣れぬ便器に遭遇した。その便器は和式と洋式が合体した“2WAY便器”。福祉用具の据置式便座のように、和式便器の上に洋式便座を載せるタイプではなく、便器そのものの便座を上げ下げすることで、瞬時に和式から洋式へ、洋式から和式へとフレキシブルに変更できるものだ。しかしこの便器、日本はもちろん、中国でも滅多にお目にかかる機会がない。ナリナリドットコムではこのたび、「この便器は何なのか」をテーマに、日中を股にかけて調べてみることにした。 

まず、わからないことはメーカーに聞け、ということでTOTO、INAX、ジャニス工業の3社に“2WAY便器”の写真を見ていただき、「この便器は何なのか」「日本にもあるのか」をたずねてみることに。すると、TOTOは「便器の画像を拝見させて頂きましたが、弊社にはございません」、ジャニス工業は「弊社ではこのような形の便器を扱ったことはございません。洋式トイレの形状に集約していくと思われます」との回答。      

INAXは中国担当の部署にも確認をとっていただいたが、「弊社では扱ったことがありません」と、一様に「わからない」との答えだった。日本の便器シェアの大半を占めるメーカーが「取り扱ったことがない」としている以上、やはり日本でこの“2WAY便器”に出会うのは難しそうだ。

一方、ナリナリドットコムの中国特派員も問題の便器を求めて、深セン市内の高級家具ブランドが一堂に会する家具専門店「第3空間」を訪れた。まず、便器生産量で世界最大のシェアを誇るスペインの衛生陶器メーカーROCAへ。店員に“2WAY便器”の写真を見てもらうと、即答で「うちでは扱っていない」。ただ、「こういう便器は中国の田舎にあるのでは」と、未確認ながらも貴重な意見を拝受した。   

次に同店に隣接していた米国メーカーのコーラーを訪問。同社は「毎年世に送り出す全製品のうち、25%は新しい製品を」というポリシーを持っている。そのため、“2WAY便器”のような変わった便器も「ここなら扱っているかもしれない!」と期待感を持って訪問したが、これまた「ない」と簡単にあしらわれてしまった。その後、中国のTOTOも訪れたが、やはり“2WAY便器”は見たことがないという。

捜索は難航し途方に暮れていたところ、「第3空間」から徒歩10分ほどの場所に、小さなローカル陶器店を発見。店頭には新品・中古品の便器やシンクがズラリと並べられている。先ほど訪れたROCAで「中国の田舎」という薄いヒントを得ていたので、「もしかしたら、もしかするかも……」と、これが最後と祈るような気持ちで入店してみた。

すると、写真を見た店員はあっさり「あるよ」との返事。しかし現在は在庫がないらしく、取り寄せになるとのことだった。

店員が見せてくれたパンフレットを見ると、ホテルで目撃した便器とまったく同じ“2WAY便器”が掲載されている。メーカーは「名佳」。念のため「ほかにも同様の便器を販売しているメーカーはないですか?」とたずねたところ、店の奥から取り出してきた別のメーカー「特美居」のパンフレットにも同じ便器が掲載されているではないか。しかも「特美居」はタンクの形が異なる2モデルを用意している。店員いわく「どちらも価格は同じで830元(約11,000円)」とのことだ。

どうやらこれらの便器は洋式便器に親しみのない老人を気遣って設計されたそうだが、狙いとは裏腹にまったく売れず、結果として今では「ほとんど流通していない」のだという。中国でも珍しい“2WAY便器”。もし遭遇する機会があれば、貴重なものだと思いながら用を足してみると良い……かもしれない。

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