選挙に勝ったのは故人だった、他界から1か月後の町長選で現職破る。

2010/04/16 12:22 Written by Narinari.com編集部

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米国のある小さな町で行われた町長選挙で、“珍事”が起きた。4月13日に町が選挙結果を発表したところ、現職町長をはるかに上回る票数を集めたのは、約1か月前に亡くなった元町会議員の男性。しかも住民たちは、男性が亡くなったことを知っていた上で投票したのだという。

米紙チャタヌーガタイムス・フリープレスによると、舞台となったのはテネシー州トレーシーシティという人口2,000人に満たない小さな町。4月13日、町は「カール・ロビン・ギアリー氏が、現職のバーバラ・ブロック氏を268対85で“破った”」と発表した。しかしこの結果は、記録には残っても無効の結果となる。なぜなら当のギアリー氏は3月10日、心臓発作により55歳でこの世を去っていたからだ。

2006年からトレーシーシティの町会議員を務めていたギアリー氏は、「いつもオーバーオールを着て、率直な発言をする」政治家だったそう。住民からも「町のためによく働いた」との声が聞かれるなど、その人気は高かった。ところが、彼が目指していた町長選挙を迎える1か月前に、突然の不幸でこの世を去ってしまう。「彼は本当に町長になりたがっていた」と肩を落とすスーザン夫人だったが、支援者たちはギアリー氏への想いを捨てていなかった。

葬儀の日、スーザン夫人のもとには哀悼の意を示す電話が寄せられ、口々に「私たちは、まだ彼に投票するつもりだ」と話したという。ただ、そこにはギアリー氏の人気だけではない事情もあった。町のレストラン経営者は「バカバカしいと思われるのは分かっている。でも、今の町長以外の人になって欲しかったんだ」と、現職町長への不満が故人への投票という形に繋がったようだ。

そして迎えた選挙の結果、亡くなったギアリー氏が大差で現職のブロック氏を破るという前代未聞の結果に。これにはさすがのブロック氏も「ショックを受けた」「どうして亡くなった人に投票したのか」と、住民の“選択”に困惑しているという。

ちなみに、選ばれた次期町長の就任は無理なため、改めて4人の町会議員による選挙を実施する運びとなるそうだ。

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