1年間で2回双子を出産、わずかな期間に4人の家族が増えた女性の苦悩。

2010/04/14 20:31 Written by Narinari.com編集部

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身近な夫婦に赤ちゃんが生まれたと聞けば、誰もが「めでたい」と祝うもの。明るい希望の星となる赤ちゃんを家族に加え喜んでいる夫婦を見ると、周りも自然と幸せな気持ちになるものだ。しかし、周囲の勝手な想像をよそに、さまざまな事情から出産を素直に喜べない親もいる。英国に、1年以内の短い期間に2度も子どもに恵まれたある女性がいた。問題は生まれた赤ちゃんが共に双子だったということ。わずか1年間で家族が一気に4人も増えた“想定外”の事態に、この母親は出産した時の苦悩を告白している。

英紙デイリー・メールが「恐らく英国で唯一、1年で双子を2組産んだ女性」と紹介したのは、ランカシャー州に住む現在40歳のヘーゼル・ボウデンさん。ヘーゼルさんは2005年9月22日、男の子のルークくんと女の子のハンナちゃんの双子を出産すると、2006年9月19日には男の子のコナーくんと女の子のサラちゃんの双子を出産した。2005年2月に夫のアンドリューさんと結婚してすぐ子宝に恵まれたヘーゼルさんだったが、わずか1年で4人が生まれるという事態は、素直に喜べない現実とも直面することになる。

ヘーゼルさんが2歳年下のアンドリューさんと出会ったのは2003年のこと。まだ幼なかった娘のシャーロットちゃんを抱えて離婚し、一生懸命仕事に励む中、インターネットで知り合ったのが彼だった。交際を重ねていくうちに、ヘーゼルさんは「彼が子どもを作ることは望んでいなかった」ことも好意的に捉え、2人は結婚を決意する。ところが米フロリダで結婚式を挙げる3日前、早くも2人のビジョンが崩れた。体調を崩したヘーゼルさんに妊娠が発覚、14週目で行った検査で双子であることも分かったという。

正直なところ子どもを望んでいなかったというヘーゼルさんにとって、この事態は複雑な心境だった。「どんな子どもでも授かり物だから平静を装ったけど、本当は怖かった」と、彼女はそのときの気持ちを語っている。というのも、夫婦は英国の家を売り払ってお金を作り、カナダへの移住を計画していたという理由もあった。結局、夫婦の夢は変更を余儀なくされ、2005年に双子を出産。ヘーゼルさんは、このとき「喜びと絶望の入り混じった心境」を抱いたと語っているが、さらに想定外の出来事がすぐに訪れた。

出産から2か月後、以前使用していたものとは違うピルを服用していたところうまく機能せず、ヘーゼルさんは再び妊娠。もともと結婚時に子どもを望んでなかっただけに、検査でまた双子と分かったときは「泣き崩れた」そうだ。同様に望んでいなかったアンドリューさんも気持ちは重く、検査からの帰りは「一言も言葉を交わさなかった」という。

こんな後ろ向きな気持ちを持ちつつ、2人はシャーロットちゃんを含め5人の子どもを育てようと、節約生活に奔走。だが「朝5時半に起きて、夜8回も起こされる」ヘーゼルさんを支えるためにアンドリューさんが仕事を辞めたことが、金銭面での不安を加速させた。

自由な時間を子どもたちに奪われ、精神的に余裕を作れなかった夫婦は、常にお金の問題で揉めてしまい、今年1月には離婚危機に。そんなとき、カウンセラーと相談を重ねたことで、現状から逃げようとするのではなく受け入れようと、心境に変化が生まれたという。ただ、それは子どもが成長したおかげでもあった。てんてこ舞いで「甘やかせてあげられなかった」子どもたちは急速に自立。また時に双子同士で、時にシャーロットちゃんを筆頭とする兄弟姉妹で助け合うようになり、ヘーゼルさんの生活にもゆとりが生まれてきたそうだ。

今では3歳と4歳になった双子たちは保育園に通い始め、「人生が楽になってきた」と話すヘーゼルさん。女の子たちは食器洗いも手伝うようになり、少しは子育てのパニックから解放されたようだ。その苦労から、子どもたちへの恨み節しか出てこなかった出産当初とは異なり、今では「私もアンディも普通にはない家族が大好き」と語っている。

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