163年間続いた「勤務中のビール」禁止、一方的な通達に従業員がスト。

2010/04/12 16:19 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


アルコールが飲める大人なら、何はなくとも欠かせないビール。苦みと炭酸は爽快感を、適度なアルコールは心地よい酔いを生み出し、仕事を終えての寛ぎの1杯は、多くの大人を虜にする。また、そうしたことに加え、単純に仕事中の飲酒がご法度だからこそ、それから解放された幸せも味わえるのかもしれない。しかし、そんな日本人の感覚からするとちょっと不思議な騒動が、ビール会社のカールスバーグで勃発した。この4月から「昼食時以外のビール禁止」の新方針が会社側から出され、163年間続く伝統に従って業務時間中にビールを飲んでいたデンマークの従業員らが、ストライキを起こしたという。

1847年にデンマーク・コペンハーゲンで生まれ、今や世界150か国以上で販売されているカールスバーグ。そんな伝統あるビール会社のおひざ元にあるデンマークの工場では、これまで社員が製品を飲めるようにと、仕事場に冷蔵庫が設置されていたそうだ。しかも、勤務中酔っぱらってはいけないという規則が守れれば、「従業員は1日を通して、そこから自由にビールを手にできた」(英紙タイムズより)と、酒好きの人なら天国のような職場だった。ちなみに、カールスバーグのほかの工場には、こうしたルールは存在していないという。

そんな恩恵に預かっていた多くの社員たちに、会社は「4月1日から、昼食時以外のビール摂取を禁止する」と通達。従業員たちは、一方的な変更に猛反発した。工場の労働組合長は「会社側は、我々の意見を聞くことなくルールを変え、交渉協定を破った」(デンマーク英字紙コペンハーゲン・ポストより)と主張。自由にビールが飲めなくなることに対してというよりは、話し合いの場を設けずにルール変更に至ったことに怒っているようで、会社側への抗議のためにストライキに入ったという。ストライキは食堂以外からビールが撤去された4月7日に約800人が参加。翌日も「250人が継続」(英スカイニュースより)していたと伝えられている。

一方、カールスバーグのスポークスマンは、“勤務中のビール”が古くからの従業員の慣習であることを認めつつも、「デンマークの93%の会社はアルコールポリシーがある」と、時代の変化を強調。今回のストライキにより、国内外への出荷がストップしたものの、カールスバーグ側はその影響は「小さいだろう」(タイムズ紙より)との見通しを示している。しかし、ストライキをした従業員に罰金を科す可能性も示唆するなど、ルール変更への強硬姿勢は崩していない。

工場内が喧々諤々の論争でもつれる中、例外的にルール変更を逃れることができたのが輸送ドライバーの社員。「工場従業員への同情から、今回ストライキに加わった」人も多かったそうだが、昼食を食堂で取る時間がないとして、ドライバー社員に限り「3本のビールを持って行ってよい」とのルールが残された。しかし、これには飲酒運転の可能性が大いに懸念されるところ。これに対しカールスバーグは、「法律基準のアルコール濃度0.05%を超えたら運転できないよう、アルコールロックを取り付け」(コペンハーゲン・ポスト紙より)対応したそうだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.