車いすの女子高生を卒業パーティーに、続々寄せられた協力に本人も涙。

2010/04/12 12:58 Written by Narinari.com編集部

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米国の学校の卒業年度に開かれるパーティーは“プロム”と呼ばれ、特に高校生たちはタキシードやドレスに身を包み、盛り上がりを見せる。日本人にはあまりなじみのないイベントだが、青春モノの映画やドラマでも描かれることは多いため、どのようなものかはイメージしやすいかもしれない。テキサス州の女子高生ダニ・ウィルクニングさんも、プロム参加を楽しみにしていた1人。しかし、彼女には出席に向けて大きな問題があった。生後6か月で脳性まひを患ってしまったダニさん。肝心のドレス選びや移動方法がさまざまな理由から難しく、彼女の気持ちを知りつつも、母親は参加は不可能だと思っていた。そうした中、姉の1つの提案が光を見出すこととなる。

テキサス州コンローのオークリッジ高校に通うダニさんは、ほかの高校生たちと同様に4月17日に迫ったプロムへの参加を楽しみにしていた。しかし、期待する娘の姿に、母親のヴィッキー・グッドナイトさんは複雑な心境だったという。

生後6か月でダニさんが脳性まひを患った夜、ヴィッキーさんは「この子はプロムに行くこともできない」(米放送局ABCより)と、涙を流し続けたそうだ。プロムと言えば華麗にドレスアップして、同級生たちと踊るのがメイン。車いす生活を余儀なくされるダニさんが、同級生と同じようにプロムを楽しめないとヴィッキーさんは悲しんだ。

それでもしっかり学校に通って順調に大きくなり、ついにプロムを目前に控えたダニさん。自分の身体の状況を充分認識したうえで参加に期待を寄せていたが、彼女の力だけでは越えられない問題もあった。ドレスを購入する婦人服店に行っても、車いすを手放せないダニさんには店内での試着は困難。また、体の筋肉が委縮した関係で、合うサイズのドレスが見つからない。ダニさんらはいろいろな店を回ったが、「どの店も彼女を助けられなかった」(ABC系列のKTRK-TVより)という厳しい状況に。そこで、昨年プロムに参加した姉のブリタニーさんが、自分がドレスを購入した店へダニさんを連れて行った。

ダニさんらが店に入ったとき、オーナーはやはりほかの店と同じように戸惑ったという。しかし、事情を知り協力を決意。店はダニさんの体のサイズを調べると、着られそうなドレスの写真を電子メールで送信し、ダニさんが気に入ったドレスを家で試着させてあげるようにした。こうしたやり取りとサイズ調整を繰り返し、ダニさんは一番の難関と見られた、ピッタリで素晴らしいドレスを用意することに成功。店員も「彼女は興奮して、涙を浮かべてたわ」(KTRK-TVより)と語り、この仕事に喜びを感じていたようだ。

こうしてドレスを用意したオーナーは、さらにダニさんへの協力を続ける。服の次は身だしなみと、彼女はダニさんの化粧や髪型を整えてくれる美容師を探すと、協力に応じるという地元店が続々名乗りを上げた。そして、この話題をKTRK-TVが取り上げ放送すると、今度は視聴者からも支援の声が寄せられる。ヴィッキーさんによれば、メイクアップを名乗り出た数十人のほかに、リムジンを用意して高校への送迎を申し出た人も。オーナーも当日は店を閉め、ダニさん専用のドレッシングルームにするという。

多くの人からの協力もあり、プロム参加への準備が整ったダニさんは「素晴らしいわ。なんて言えばいいのか」とKTRK-TVのインタビューで答えると、声を詰まらせた。また、ヴィッキーさんも「彼女はプリンセスになれる」と娘が晴れ姿になれることを喜び、周囲の協力に感謝の意を示している。準備は万端、本番を待つだけとなったダニさんは、当日姉とディナーを楽しんだ後、念願のプロムに参加する予定だ。

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