ゲリラ撮影の“全裸PV”に市はカンカン、米人気歌手の新曲PVに賛否。

2010/03/31 15:36 Written by Narinari.com編集部

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日本では4月14日にニューアルバム「New Amerykah Part Two Return of the Ankh」を発売する人気R&B歌手のエリカ・バドゥ。それに合わせて4月16日と17日には約5年ぶりの来日公演も行われるなど、今からアルバムやライブを楽しみにしているファンも少なくないだろう。アルバムは米国で一足早く3月30日にリリースされ、公式サイトでは3月28日からアルバム収録曲「Windows Seat」のPVを公開している。PVはバドゥが街中で服を一枚ずつ脱いでいき、最後は全裸になるという内容なのだが、その刺激的なPVは米国内で物議を醸しているようだ。

バドゥの公式サイト(//www.erykahbadu.com/)を開くと、ニューアルバムのジャケット写真が大きく映し出され、そのすぐ上のマークをクリックすると「Windows Seat」のPVが見られる仕組み。曲とともに、車をパーキングエリアに止めて道を歩き出すバドゥの映像から始まる約5分33秒のPVは、落ち着いた曲調とは裏腹に、衝撃的な彼女の姿をさらしていく映像だ。

彼女の地元テキサス州ダラスの街中で撮影されたというPVの中で、バドゥはコート、パーカーと着ていた服を1枚ずつ脱いでいく。当然周囲には一般の人たちも大勢いる状況で、彼女が通り過ぎた後ろで道に落とした服をわざわざ拾い、困惑する人も映っているのが妙にリアルだ。

その後、子連れの親の前でシャツを脱いで上半身ブラジャーだけになったバドゥは、多くの人が集まる通りでさらにズボンや上下の下着も脱ぎ捨て、モザイク入りの裸状態に。そして曲の終わりはジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された場所で、バドゥは銃声の音とともに頭から青い血を流して倒れ、一連のストーリーを締めくくる。

この映像のストーリーはPVの冒頭で「Inspired(触発された)」として紹介された、Matt&Kimの曲「Lessons Learned」のPVと同じ作り。場所こそダラスとニューヨークで異なるが、車から降りて服を脱いでいき、最後は死を思わせる場面で終了するのは全く同じ流れだ。バドゥはこのPVに“自分の内面と向かい合う”というアルバムテーマを重ね、今回の作品を仕上げたそう。

バドゥはTwitter上で、「『服を着なさい、子どもがいるのよ』って叫ぶ女性もいた。そして人々は私を見ていたわ」(米MTVより)と撮影時の様子をコメント。しかし、3人の子どもを育てる彼女がそうした意見に対して“表現の自由”と語り、作品に相当な自信を持っているようだ。また、PVのディレクターは「彼女は、人々に映像から触発されて欲しいと望んでいる」とも語り、ネット上でも「ポジティブな反応が多い」ことを明かしている。

しかしこの撮影は不許可の判断が下ることを恐れたのか、市当局に申請せずに“ゲリラ撮影”を敢行。これに対しダラス市のスポークスマンは「逮捕やペナルティーが科せられる可能性があると、制作会社も分かっているはず」(米紙ダラス・モーニングニュースより)と怒り心頭の様子だ。

また、市民の中には、彼女の行動が無責任で「私ができるならとっくに刑務所送りだ」と主張する人もいるなど、PVに対する意見は賛否両論となっている。日本でもたびたび写真集の撮影などで“社会の秩序”と“表現の自由”の主張がぶつかり合うが、難しい問題なのは米国も同じ。いずれにせよ、バドゥのニューアルバムが注目を集めたことだけは間違いないようだ。

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