尿漏れをテキストメッセージで通知、介護者の負担を軽減させるシステム。

2010/03/29 14:01 Written by Narinari.com編集部

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今後さらなる高齢化の波が押し寄せる日本にとって、重要な問題のひとつとなってくるのが介護。しかし現在、待遇面の悪さや仕事内容の大変さから、介護職の離職率は高い状況が続いている。深刻な人手不足が叫ばれ、ギリギリの人数でやり繰りしている施設も少なくないが、オーストラリアの企業がこうした負担を軽減させる可能性を切り拓く新たな製品の販売を開始した。それは、尿漏れするとすぐにテキストメッセージで知らせてくれるシステム。これにより、お年寄りの下着をすぐに交換できるだけでなく、介護者も頻繁な確認が必要なくなるという利点が謳われている。同社はまず、オーストラリアにある老人ホームに導入していく計画だ。

「SIMsystem」と呼ばれるシステムを製品化したのは、オーストラリアのSimavita社。同社のサイトによると、このアイデアはメルボルンの医師だったフレッド・バーグマン博士らのグループが考案し、1996年に特許を取得。以後、10年以上の研究と実用試験を繰り返し、オーストラリアでの販売を始めたという。

この製品は受信機とセンサー入りの尿漏れパッドがセットになっており、利用者が尿漏れすると湿気の感知を無線で管理者に送信。管理者はパソコンやポケベル、携帯電話などに送られてくるテキストメッセージを受信し、利用者の確認に向かうという仕組みだ。

同社のフィリッパ・ルイスCEOは、「施設は経費節減できるだけでなく、お年寄りにも安心と尊厳を提供できる」と、利用者、介護者双方へのメリットを説明。また、豪紙ヘラルド・サンでは「この製品により、施設側は尿漏れの管理に費やす時間を半減できる」とのルイス氏のコメントを伝えている。介護職員の業務効率化に大きく繋がるのは間違いなさそうだ。

ちなみに、このシステムの導入には施設側も最初はある程度の投資が必要。Simavita社のサイトには「施設の規模や建築構造によって、費用が異なる」と書かれており、具体的な金額提示は個別に対応するとしている。販売はオーストラリアで始まったばかりだが、今後個人レベルや、世界にも活躍の場を広げることができるかにも注目しておきたいところだ。


☆立命館大学は「尿発電によるワイヤレス尿漏れセンサーシステム」を開発

立命館大学は昨年11月、尿で発電し、無線で尿漏れを通知するセンサーシステムの開発を発表した。このシステムはわずか4滴の尿を尿発電センサーに垂らすだけで、3メートル離れた受信機に尿漏れ情報を送信し続けることができるものだ。

無線化により「介護者の不要な確認作業の負担を軽減でき、また、被介護者の尿漏れによる不快感を軽減できる」(プレスリリースより)という点はSimavita社の製品と同様の考え方で、加えて尿発電により電池交換の手間も要らない点が大きな特徴。ただ、通知は専用の受信機に送信される仕組みで、この点はパソコンや携帯電話にテキストメッセージが飛ぶSimavita社の製品とは異なる。

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