オスカー俳優のパロディがきっかけ、旧ソ連の古い曲がネットで大ブレイク。

2010/03/18 14:32 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


第82回アカデミー賞で助演男優賞に輝いたクリストフ・ヴァルツ(「イングロリアス・バスターズ」)がきっかけで、いま、話題を呼んでいる古い歌がある。先日出演したテレビ番組のトークショーで、40年以上前にソ連で人気を博していた歌手のパロディを流したところ、これが大ウケ。それに伴い、もとになった歌手が歌っている映像も長い時を経て再び脚光を浴び、YouTubeに投稿されている動画(//www.youtube.com/watch?v=oavMtUWDBTM)は再生回数が300万回に迫るほどの人気となっている。

ブームのきっかけはヴァルツが出演した米国の人気トーク番組「ジミー・キンメル・ライブ」。番組は終始明るいムードでヴァルツとホストのキンメル氏のやりとりが続き、インタビュー終了間際にヴァルツ出演のパロディビデオが流された。そのもとになった歌手は、1960年〜70年代にかけてソ連で人気だったという、現在75歳のエドゥアルド・ヒルさんだ。

パロディではヴァルツがコミカルな演技を見せながら歌い、ウケを狙ったものになっているが、もとの動画を見ると、現代では味わえないような新鮮さが存在する。その特徴は明るい曲調と低く渋い声、そして明確な言葉の歌詞がないという点だ。終始「オオオー」「イェイェイェ」「ナナナ」と、世界の誰でも分かる歌詞で歌いあげている。シンプルな歌詞とその曲調、ヒルさんの朗らかな表情と心地良い声が相まって、聞いている側は不思議で爽やな感覚を覚えるに違いない。

露紙モスクワ・タイムズによると、当初、この歌には草原を駆けるカウボーイをイメージした歌詞があったという。しかし、「彼と作曲家は、検閲官が歌詞を承認しないと確信」(英タイムズ紙より)していたため、言葉を乗せない歌にしたそうだ。当時の社会情勢からやむを得ない判断だったものの、それが結果的には後世になって、世界の誰にでも聞きやすい魅力的な歌として受け入れられるようになった。この歌は歌詞の一部から「Trolololo」とも呼ばれ、YouTubeには再生回数が300万回に迫る動画をはじめ、ヒルさんの同じ動画、パロディ動画が複数投稿されている。

現在では、Facebookにヒルさんのファン数百人が集まるページも開設され、「ワールドツアーをしてもらうための嘆願署名をするサイトもオープンした」(モスクワ・タイムズ紙より)ほどの人気ぶりだ。ちなみに、当のヒルさん本人は、孫の鼻歌を聞いてこのブームを知ったそう。ヒルさんが「どこでその歌を聞いたのか」とたずねると、13歳の孫は「おじいちゃんの歌はインターネットで世界中に聞かれてるよ」(英タイムズ紙より)と答え、本人は仰天したという。

突然注目されている状況を「予想外」と話すヒルさんだが、ブームにはまんざらでもない様子。YouTubeには、現在のヒルさんが地元メディアのインタビューに答えている動画も3月13日付けで投稿されている。時を超えて、いま、世界の多くの人に愛され始めているソ連の歌。その魅力をぜひ一度味わってみてはいかがだろうか。



TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.