お金を払って“友だち”をレンタル、米国のサービスが密かな人気に。

2010/03/10 14:34 Written by Narinari.com編集部

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寂しいときには“友だち”をお貸しします――。そんな「友だちレンタル」サービスを行っている米国のサイトが密かな人気を呼んでいる。毎月の会費や依頼料は発生するものの、一緒に買い物を楽しんだり、映画を観に行ったりと、老若男女を問わず健全な楽しみ方ができるとあって、依頼は着実に舞い込んでいるそうだ。

米誌ラスベガス・ウィークリーによると、サイトの名称はそのものズバリ「Rent A Friend」。5か月前に開設され、現在の利用会員はまだ1,200人程度と小規模だが、レンタルされる“友だち”は米国とカナダに10万8,000人いるという。

このサービスを利用したい人は、まず会員登録をして毎月24.95ドル(約2,200円)の会費を支払う。次に“友だち”をレンタルしたいと思った時に、サイトに掲載された居住地や趣味などの情報を参考に、会って欲しいメンバーを選択。サイトの説明では「ほとんどの“友だち”が1時間につき10ドル(約900円)」でレンタルできるそうだが、拘束時間や依頼料の金額は、電話やサイトのシステムを利用して直接交渉も可能なようだ。

「Rent A Friend」の創設者であるスコット・ローゼンバウムさんは、「このサイトは出会い系やエスコートサイトではない」(ラスベガス・ウィークリー誌より)と主張。サイトのルールでは、依頼者と“友だち”は身体的な接触を持つことは禁止されている。

実際にどのような“友だち”との付き合い方ができるのかは気になるところ。ラスベガス・ウィークリー誌はひとつの例として、ラスベガスに住む50歳の女性が、30歳の女性を“友だち”として雇ったケースを紹介している。

50歳の女性は家族が離れ、ラスベガスで独り暮らし。そこで一緒に行動してくれる“友だち”を「Rent A Friend」で依頼することにした。3時間で100ドル(約9,000円)の料金を支払い、“友だち”と一緒に映画「アバター」を鑑賞。その後、2人はハンバーガーを食べながら、映画や女性の孫の話に花を咲かせたという。これらの費用もすべて依頼側の女性が負担したそうだが、時間を楽しんだ女性は1週間後に再び同じ“友だち”を依頼。今度は、孫のプレゼント選びに付き合ってもらったそうだ。

このほかにも、サイトでは「旅行先の案内に」「勉強や趣味の時間の共有に」「スポーツ観戦やコンサートへ1人で行きたくない人に」と、想定される利用シーンを説明。誰かと一緒に過ごしたいという、心の隙間を埋めるために活用して欲しい旨を謳っている。ラスベガス・ウィークリー誌は「2004年の調査で『4人に1人は親友がいない』と答えた」とのデータを示し、人付き合いが希薄になりつつある昨今の状況を指摘。1985年の同じ調査では「平均3人の親友がいるという結果が出ていた」ことも伝え、ネット上の繋がりが広がるのと引き換えに、「身近な友だち付き合いを失くした」としている。

こうした背景が、米国で“友だち”レンタルサイトの需要が生まれつつある要因となっているようだ。しかし、ローゼンバウムさんがこのサイトを開設するヒントとなったのは、日本のサービスからだという。それは、子どものイベントに出席する父親役を借りたり、友人として結婚式に参加したりという、代理代行サービスのこと。目的こそ違いはあるが、お金で代わりの人を調達するという意味では同じで、人間関係の変化は日米の間でも似たような状況になっているのかもしれない。

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