米難関大学が入学試験にYouTubeを活用、約1,000人の受験生が参加。

2010/02/27 07:16 Written by Narinari.com編集部

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YouTubeをはじめ、いまや世界中の人々から利用されている動画投稿サイト。投稿されている動画の内容はまさに玉石混淆だが、その中にはユーザー自身が撮影・制作した“表現の手段”としての動画も数多い。そうした動画に目を付けたある米国の大学が、受験生を見極める手段のひとつとして「自己PR動画」を採用。選択課題のひとつのため提出は任意だが、YouTubeに投稿されたPR動画の数々には受験生の個性が存分に映しだされ、大学も手応えを感じているようだ。

この大学は米国の難関大学のひとつ、マサチューセッツ州のタフツ大学。同大学はこれまで受験生に対し、全受験生共通テーマのレポートと、複数の項目から希望のものを選ぶ選択テーマのレポート、計2本の提出を求めてきた。そして今年は選択テーマのひとつに「あなたのことについて話してください」という項目を追加。約1分間の自己PR動画をYouTubeに投稿するよう求めた。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、このアイデアはタフツ大学の入試実務責任者リー・コフィンさんが、昨春、知人から教えてもらったYouTubeの動画を見て思い付いたそう。動画を見たとき、「この子がタフツに申し込んでいたら、すぐに入学させたいなぁ」と思ったことから、受験生の普段の様子を掴むのに動画の利用は有効と判断したという。

YouTubeを利用する、それはすなわち通常なら大学側しか見ることができない自己PRの中身を、ほかの受験生も見られることを意味している。この点については賛否が分かれそうなところだが、コフィンさんは「これは完全に透明性がある」と、受験生にとってもメリットがあると考えているようだ。

初めての試みとなった今年は、現在のところ全申込者15,000人のうち、約1,000人が動画を選択したそう。ニューヨーク・タイムズ紙は、象の形をしたラジコンのヘリコプターを製作した男性や、「数学ダンス」と称しグラフの形を体の動きで表現した女性の動画を紹介。中でも「数学ダンス」の動画は6万回以上再生され、コメント欄には「おかしいね」「面白いとは思わないけど、彼女は好きだな」といった書き込みが寄せられており、本人にとっても、自己PRがどの程度成功しているのかを測る目安となっているかもしれない。

ただ、大学側は「動画だけで合否を判断するわけではない」という点は強調している。コフィンさんは「我々はオスカーを獲得するような動画を探しているわけではない」と、動画の出来栄え云々ではなく、「人となりを見たいだけ」と説明。とはいえ、ひどく出来の悪い動画を提出した場合に心証を悪くしてしまうのでは、と心配になる受験生もいるかもしれないが、この点についても「本当にうんざりするようなものでなければ」合否に影響を与えることはないようだ。

米放送局ABCは、選択テーマとして動画を選択した生徒の「素晴らしいアイデアで独創的」とのコメントを紹介しており、受験生の間でもこの試みは好評な様子。ちなみに、合否判定終了後には、投稿された動画の中から「タフツアイドル」を決めるコンテストを開くオプションも用意しているという。合格とともに「タフツアイドル」の栄冠を目指して、受験生には頑張って欲しいところだ。

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