15年後に届いた野球選手のサイン、少年時代の球団への“お願い”叶う。

2010/02/25 12:47 Written by Narinari.com編集部

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ほかのプロスポーツもそうであるように、米国で高い人気を誇るメジャーリーグも、ファンへのサービスを大切にしているスポーツ。その内容はさまざまだが、例えば子どもたちが好きな選手の「サインが欲しい」と球団に手紙を送ると、きちんとサインを添えて返送してくれるといったこともあるようだ。先日、ある男性のもとには、子どもの頃にファンだった選手のサインが突然届いたのだが、実はこれ、15年前に出した手紙の返事だった。

米紙ニューヨーク・ポストによると、この男性はニューヨークに住む27歳の男性、マーク・ロスさん。ニューヨーク育ちのロスさんは、地元にヤンキースとメッツという人気球団がありながら、決して強いとは言えないロイヤルズのファンだった。ロイヤルズはミズーリ州カンザスシティに本拠を置くチームで、現在は2007年まで日本ハムの監督を務めたトレイ・ヒルマン氏が監督を務めている球団。日本での手腕を買われ2008年からロイヤルズを率いているが、一昨年、昨年は2年連続地区4位と、チームの立て直しにはまだ時間がかかりそうな印象だ。

ロスさんが球団に手紙を出したのは12歳の頃。当時のロイヤルズは“強豪”と呼ばれた1980年代から一転、地区最下位も経験するなど低迷期に突入した時代だったが、ロスさんはそんなチームの不動のエース、ケビン・エイピアー投手の大ファンだった。そこで封筒にエイピアー投手のトレーディングカードを入れ、「カードに彼のサインを書いて送り返して欲しい」とお願いするメモを書いたという。しかし、サインを待ちわびた12歳の少年のもとには、いつまで経ってもカードが送り返されてくることはなかった。

そのまま月日は流れ、現在。すっかり大人となったロスさんに、先日、実家で暮らす父親が「奇妙な質問」(ニューヨーク・ポスト紙より)をしてきた。父親に「トレーディングカードを送ったか?」と聞かれ、「もう15年もそんなことしてないよ」と答えたロスさん。聞けば、実家宛てにエイピアー投手のサインが書かれたトレーディングカードが届いたそうで、昔の記憶が蘇ったロスさんは、喜びつつも、正直「何で今なの?」とも思ったという。

それは、書いた本人のエイピアー“元”投手も同じ気持ちかもしれない。42歳のエイピアー氏は、1999年にロイヤルズを離れた後に数球団を渡り歩き、再び戻ってきたロイヤルズで2004年に現役を引退、現在はカンザスシティー近郊のパオラで牧場を営んでいるそう。ニューヨーク・ポスト紙に球団もエイピアー氏もコメントを返していないため、なぜ15年間もブランクがあり、今になって送られることになったのか経緯は不明のままだが、同紙は「新しくサインされた」と伝えており、引退したエイピアー氏が最近になってサインしたことを示唆している。

大好きだった選手のサインが書かれ、15年ぶりに手元に戻ったトレーディングカードを手にしたロスさんは、やや戸惑いながらも満足な様子。しかし、当の本人よりも、少年時代のロスさんが楽しみにしていたことを知っている家族は、ロイヤルズの対応に憤りを感じている。「エイピアー氏はもう一般人でしょ」「ロイヤルズにはブラブラしている職員もいたみたいね」と皮肉たっぷり。15年経ってもしっかり返送するあたりは律儀なのかもしれないが、あまりに遅すぎた対応は、当人や家族を複雑な心境にさせてしまったようだ。

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