金メダル獲得の陰に“チーズ療法”あり、 米女子選手の治療法が話題に。

2010/02/20 16:11 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


連日熾烈な戦いが繰り広げられているバンクーバー冬季五輪。今回は2月12日から28日までの17日間に7競技86種目が行われ、メダル獲得を目指して各国の精鋭たちが凌ぎを削っている。日本人選手では、スピードスケート男子500メートルで長島圭一郎選手が銀メダル、加藤条治選手が銅メダルを獲得。18日には高橋大輔選手がフィギュア男子では日本人初となる銅メダルを獲得し、大きな感動を呼んだ。

大会8日目(19日)時点での国別のメダル獲得数に目を向けると、日本は3個(銀×1、銅×2)で13位。1位は20個の米国(金×6、銀×6、銅×8)で、2位のドイツ(金×4、銀×5、銅×4、計13個)に大差を付けている。そんな米国代表の一人で、6個の金メダルのうちの1つを獲得したアルベンスキー女子のリンゼイ・ボン選手は、五輪直前にケガをするアクシデントに見舞われたが、その際の治療法が米国でちょっとした話題となっているようだ。

44選手中6人が転倒する悪いコンディションの中、17日に行われたアルペンスキー女子滑降に出場し、見事に金メダルを手にしたボン選手。現在25歳の彼女は昨年、一昨年とワールドカップ総合で連覇を果たすなど、米国の“アルペンスキー史上最強選手”と呼ばれる実力者だ。また、身長178センチという恵まれたプロポーションと端正な顔立ちで米国内での人気も高く、先日は米誌スポーツ・イラストレーテッドで水着モデルをこなし、大きな反響を呼んだ。

ボン選手をアクシデントが襲ったのは2月上旬のこと。オーストリアでの練習中に右足のすねを打撲して一時は練習ができない状態となり、五輪も危ぶまれていた。しかし、ある治療法が功を奏し、無事に五輪へ出場。金メダル獲得へと繋がった。

米放送局ABCによると、その治療法は、打撲した患部にオーストリアの「トプフェン」という名前で知られるチーズを塗る“チーズ療法”だ。この「トプフェン」は固形ではなく、「マヨネーズとクリームチーズの間のような感じ」で、「酸味が強く、脂肪分が少ない」のが特徴。オーストリアだけでなく、ロシアやドイツ、ポーランドなどでも広く親しまれている製品だという。

ケガをしたボン選手は、レーザー治療やマッサージといった対応と一緒に、“チーズ療法”を敢行。オーストリア英字紙オーストリアン・インディペンデントでは、「何十年にも渡り、ケガを治すためにオーストリア人の間でトプフェンが使われてきた」と説明しており、この地域ではポピュラーな治療法らしい。ほかにも「日焼けした箇所にビニール袋に入れたトプフェンをあてる」ともあり、「風邪のときはネギを首に巻く」「打撲したときは患部に馬肉をあてる」といった日本の民間療法と同じ類のものだ。

この治療法がボン選手の快挙を伝える報道経由で米国でも知られると、その効果をめぐって疑問の声が上がった。ABCではウィスコンシン大学マディソン校の食品科学者ジョン・ルーシー教授の見解を紹介している。その中でルーシー教授は「このチーズに効果があるのか、はっきりしない」とコメント。食べるときの効果は分かっても、塗った場合に意味があるのかという点を疑問視している。また米紙ニューヨーク・デイリーニューズでは、整形外科医のジョン・ベンジャミン博士が「おかしな使い方だ。私はそれで大成功したという話を聞いたことがない」と、“笑いながら話した”そうだ。

しかし、コロンビア大学付属ニューヨーク・プリスバイテリアン病院でスポーツ医学の責任者を務めるウィリアム・レヴィン博士は、「彼らは回復に役立つと思えば、違法でない限り何でも試すだろう」と、少しでも早い回復を目指して、いろいろな方法を模索することに理解を示している。レヴィン博士も“チーズ療法”の効果自体は分からないというが、科学的に実証はされていなくても、意味があると感じるかどうかは本人次第。少なくともボン選手の場合は、金メダル獲得の要因の1つが“チーズ療法”にあったことは間違いないようだ。 

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.