地下鉄の新しい名称は人種差別的? 米アトランタの市民団体が抗議。

2010/02/10 15:19 Written by Narinari.com編集部

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米ジョージア州アトランタ市の公共交通局「マルタ(Metropolitan Atlanta Rapid Transit Authority)」は、地下鉄とバスを運営する機関。その地下鉄路線が昨年10月に名前を改めたのですが、その新名称がいま、論議を呼んでいます。

地元ニュースサイトAJC.comによると、4つの地下鉄線の名称をもっとシンプルな呼び名にしようと考えた交通局は、新名称をそれぞれ「レッド・ライン」(旧名:ノース・サウス線)、「ブルー・ライン」(同:イースト・ウェスト線)、「グリーン・ライン」(プロクター・クリーク線)、「イエロー・ライン」(ノースイースト・サウス線)に変更しました。

しかし、この「イエロー・ライン」が通過するアトランタ東北部のドラヴィル地区は、東洋系の移民が多く住んでいる場所。それにも関わらず、「人種差別的でネガティブな意味合いを含む『イエロー』という名前の地下鉄が走るのは、いかがなものか」と、同地区東洋人団体の代表を務めるジョン・パク氏は訴えています。パク氏は交通局CEOのビバリー・スコット氏との会談を予定しており、その場で名称の再考を要請するそうです。

実はこの新名称を決定する際、交通局の内部でも疑問視する声が上がっていました。同局で以前働いていた日系人のジョン・ヤスタケ氏は、昨年9月に出席した会議で、この「イエロー・ライン」のアイデアを知り「大きなショックを受けた」と語っています。

ヤスタケ氏は「イエロー」がどのような言葉として使われてきたのか、という歴史的背景を挙げて反対意見を述べましたが、ほかの社員の反応はイマイチ。そこで後日、会議には出席していなかったスコットCEOに意見書を提出して抗議しましたが、CEOの最終決定は「新名称は予定通り『イエロー・ライン』で進める」というもので、名称が覆ることはありませんでした。

「アフリカ系アメリカ人の多いウエスト・エンド地区を通る線に『ブラック・ライン』と名付けるのと同様に失礼なこと」と語るヤスタケ氏は、アトランタ周辺に住む20万人を超えるアジア系住民のためにも、交通局に対応を働きかけていくそうです。

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