「いなくならないように」と鎖で子どもを支柱に繋いだ父、その理由とは。

2010/02/04 13:28 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


子どもがまだ幼いうちは、親も苦労の連続。特にさまざまな事情から、シングルで子育てをしているならなおさらだ。しかし、子育ては親として当然の責務。どんな事情があっても放棄するわけにはいかない。中国では先日、一人で子育てをしているある父親が「仕事中に息子がいなくならないように」と、子どもの足を鎖で縛り付けるという話題が伝えられた。もし身近に家族や友人がいればこのようなことにはならなかったのかもしれないが、事情はそれほど単純ではないようだ。

この子どもが発見されたのは、北京のあるショッピングセンター近く。子どもは2メートルほどの鉄鎖で路上の支柱と右足首を結ばれ、まるで足枷をはめられた囚人のごとく、自由を奪われていたという。子どもの哀れな姿を目撃した人らは心配し、メディアでも伝えられることになった。

地元紙によると、この子どもはまだ2歳で、バイクタクシーのドライバーをしながら生計を立てている陳さんの一人息子。母親は心を病み、子どもの面倒を見てくれる友人や知人もいないために、仕方なくこうして子どもを繋いでいるという。仕事が終われば子どもの鎖を外し、家路につく生活を送っている。バイクタクシーの仕事は普通のタクシーのように長距離を走ることは少なく、陳さんは仕事の合間に子どものいる場所まで頻繁に戻っていたそうだ。

とは言え、陳さんのこうした措置が多くの人にとって理解し難いのは事実。決して「あってはならない」行為だろう。ただ、半月ほど前、陳さんは4歳の娘を失っている。路上にいた娘がいつの間にか姿を消してしまい、現在もまだ発見されていないそうだ。母親は娘を失った悲しみから「娘がいなくなった」とうわ言を呟き、陳さん自身も辛い日々を送っている。

こうした陳さんの現状を理解してか、中には「子どもを施設に預けたほうがよい」とアドバイスする人も。しかし、陳さんの子どもは孤児ではない。そして子どもを保育施設に入れるには相応の費用がかかる。陳さんにはその費用を捻出できる経済力はなく、現時点では政府の関係部門に相談し、費用を減免してもらうなどの優遇措置を期待するしかない状況だという。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.