末期がんの妻と結婚式を、医療費で苦しむ夫の嘆願に住民寄付で実現。

2010/02/03 11:18 Written by Narinari.com編集部

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先日、これまで式を挙げられなかった末期がんの米国人女性が、盛大な結婚式を挙げた。このカップルは結婚18年目で、子どもを2人育てるベテラン夫婦だが、昨年末期がんと診断された妻の余命は医師の見立てでは長くて残り1か月半。そんな妻が切実に願ったのが、「長年の夢だった結婚式を挙げること」だった。

カリフォルニア州マンテカで生活するジェリー・マーティンさんと、妻ビクトリアさんが結婚したのは18年前のこと。お互い16歳という若さで結婚した2人は、当時、式を挙げることはできなかったという。ビクトリアさんは「いつか、夢の結婚式を挙げたい」(米放送局ニュース10より)と願いつつ、結婚から6年後に男の子、その2年後には女の子を出産。子どもに恵まれ幸せな家庭を築いたが、それも束の間、ビクトリアさんを不幸が襲った。

今から約10年前、ビクトリアさんは皮膚ガンに侵される。彼女はそれから数年にも及ぶ闘病生活を開始。地道な治療を重ねたが、昨年ビクトリアさんに再び重い宣告が下された。新たに見つかったのは「悪性リンパ腫」(ニュース10より)。ステージ4と診断される末期の状態で、4か月半前に受けた医師からの余命宣告は残り半年、つまり現時点では、1か月半を切るタイミングになっている。

妻の夢を知っていたジェリーさんは、何とか結婚式を挙げたいと、実現に向けて動き出すことにした。ただ、長年にわたる医療費が家計に重くのしかかっており、預金はほとんどない状態。そこでジェリーさんは地元のコミュニティクラブに相談し、妻の夢を実現する手助けをして欲しいと嘆願した。

すると、地域住民や奉仕活動を行う団体から多くの寄付が集まり、コミュニティクラブが2人の結婚式を開くことに。準備はコミュニティクラブの関係者と家族が一緒に行い、教会での費用のほか、花やケーキといった細かい品々はもちろん、カメラマンや馬車も手配。ビクトリアさんの体調の関係でこれまでに数回予定を中止することはあったが、ようやく1月30日に、華やかな結婚式を挙げることができた。

この結婚式の模様を伝えた地元紙マンテカ・ブリティンには、赤いドレスをまとい、ティアラを乗せたビクトリアさんとタキシード姿のジェリーさんが多くの参列者の間を手を繋いで歩くシーンや、家族4人が顔を寄せ合っている姿のほか、ジェリーさんと見つめ合うビクトリアさんが涙を拭うシーンなどの写真も掲載されている(//www.mantecabulletin.com/news/article/11181/)。

結婚式を挙げたことで、夫妻はもう一度“離れられない関係”であると強く実感できた様子。ジェリーさんはニュース10に「私は妻を旅立たせる気持ちになれない。彼女は僕のすべてなんだ」と話している。また、ビクトリアさんも「(死が)神の意志であるなら受け入れるつもりだが、最後まで闘いを諦めない」と語り、残りの人生を前向きに過ごしているそうだ。ちなみに、夫妻のために寄せられた寄付はまだ残っているようで、今後のビクトリアさんの治療費や、2人の子どもの養育費に使われていくという。

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