「iPod nanoケータイ」ってなんだ? 中国で販売されるニセモノ携帯。

2010/01/20 13:53 Written by Narinari.com編集部

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山塞機と呼ばれるニセモノ携帯が蔓延している中国では、ノキアやソニーエリクソンなどの大手端末メーカーが新製品を出すと、早いモノは発売前から、遅くても半月後にはニセモノが店頭に並ぶ。しかし、山塞機のすべてが大手端末メーカーのコピー製品かと言えば、そうではない。言葉としての山塞機に定義はなく、大手端末メーカーの完全コピー端末から、ブランド名やデザインなどの一部をコピーした半コピー端末、中国の無名メーカーの完全オリジナル端末まで、実は多種多様なケータイが山塞機として一括りにして扱われている。

そんな山塞機は中国の日常生活に溶け込んでしまっているだけに、実際に使用しているユーザーに出会うことは、そう難しいことではない。先日、ナリナリドットコムの中国特派員は、遠い知人の中国人男性が、どこかで見たことのあるような(?)デザインの山塞機を所有していることに気が付いた。その山塞機は男性曰く「『iPod nanoケータイ』だよ!」。堂々と言い切るのも「……」という感じだが、せっかくなので少し話を聞きながら、どのような端末なのかを見せてもらうことにした。

この「iPod nano」のようなケータイの正式名称は「Mini F520」。製品のキャッチコピーは「CHANGE MY LIFE a Little」と、ちょっとシャレが効いている。バッテリーカバーを開けると「MINI APPLE」と記されており、明らかに「iPod」を意識して作られた端末のようだ。

カラーバリエーションはシルバー、ブルー、ピンクの3色。メーカーは「Korea mini Technology」で、「Design in Korea」とも記されているが、山塞機は「日本製」「韓国製」「アメリカ製」と偽装表示されているモノが多々あり、本当のメーカー名などはよく分からないというのが正直なところだ。

実際に「Mini F520」を購入して使用している知人の話によると、「Mini F520」の価格は420元〜480元(約5,500円〜約6,400円。店頭によって値段が異なる)で、充電器とヘッドセット、予備充電地1個が同梱。取扱説明書がない代わりに、この手の山塞機のほとんどに同梱されていると思われる「GSM移動電話」の取扱説明書が入っていたという。ちなみに、購入したお店では1年間の修理保証も受け付けていたらしい。

「Mini F520」の端末サイズは縦80ミリ×横33ミリ×厚さ20ミリほどで、手のひらにすっぽりと収まる大きさだ。端末の側面を指で軽く押すと、画面部分が回転してプッシュキーが現れる仕組みになっており、オープン時のサイズは縦125ミリ。重さは72グラムで、筐体にはプラスチックと金属が使われている。

電源を入れて最初に目に飛び込んで来るのは、なぜかハローキティの待受画像。「Mini F520」はどうやら若い女性向けに作られたモデルらしく、待受画像や動画はすべてハローキティとなっている。ただ、ネットでダウンロードすれば、待受画像や動画は変更できるようだ。

機能としては「iPod nano」に似せた端末だけに、きちんと音楽再生機能を備えている。その操作は液晶画面下に配置された「iPod」風のボタンだけで完結するため、わざわざ端末を開閉する必要はない。音楽再生機能のほかには動画撮影機能、録音機能、FMラジオ、ゲームなど、中国のケータイの基本的な機能はそれなりに揃っている印象だ。

対応言語は英語、中国語(簡体字)、フランス語、ペルシャ語、トルコ語、アラビア語、ベトナム語の7言語。この対応言語の多さは、中国の山塞機が世界に広がっていることを示しているのだろう。

また、小さい端末ではあるが、デュアルSIMにも対応(SIMカードを2枚差せる)。バッテリーを外したところに、SIMカードの差し込み口が2つ用意されている。用途(プライベート用/ビジネス用など)に応じて2つの携帯番号の使い分けが可能だ。

ちなみに、中国の山塞機市場を覗くと、そのほとんどがデュアルSIM対応端末となっており、中にはトリプルSIM対応の端末も見られる。そこで中国・深センにある電気街の店員にたずねたところ、「デュアルSIMは主流だが、利用しているユーザーはまだまだ少ない」とのこと。しかし、将来利用することを見据えて、デュアルSIM対応の端末を購入する客は多いという。

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