香港でも「ガンダム」は大人気、「EXPO」効果でガンプラ売上げ伸びる。

2009/12/30 16:51 Written by Narinari.com編集部

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1979年のアニメ放映開始以降、現在まで幅広い年代のファンを獲得してきた「機動戦士ガンダム」。その人気は日本を飛び出し、海外にも広がっているが、日本と同じ30年の歴史を持つ香港でも「ガンダム」は多くのファンに愛されている。今年12月には8回目となる「ガンダムEXPO」(2009年12月17日〜2010年1月3日)が開催されるなど、ファンイベントも人気を博しているが、今回、ナリナリドットコムの中国特派員が「ガンダムEXPO」に潜入。“海外ガンプラ伝道師”ことMasked BAKUC氏に会場を案内していただきながら、お話をうかがった。

◎香港でのガンダム人気

香港では日本と同様「ガンダム」の歴史は長い。さかのぼれば初代の「機動戦士ガンダム」が放映されたのは1979年(日本と同じ年)で、以後、「機動戦士Zガンダム」(1992年)、「機動戦士ガンダムZZ」(1993年)、「新機動戦記ガンダムW」(1997年)、「機動武闘伝Gガンダム」(1998年)、「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz」(2003年)、「機動戦士ガンダムSEED」(2004年)、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」(2006年)、「機動戦士ガンダムOO ファーストシーズン」(2008年)、「機動戦士ガンダムOO セカンドシーズン」(2010年予定)など、多くのガンダムシリーズが放映されてきた。

ファンの性別は男性が圧倒的に多く、女性ファンが多い「マクロス」などとは対照的だ。しかし、その規模は圧倒的で、各種イベントがあちこちで開催されたりと、異国の香港でも「ガンダム」を楽しむ環境は整っている。

ちなみに、つい最近では香港最大の鉄道路線MTRと「ガンダム」がコラボ。「フィギュア付き限定版ガンダムシリーズ記念チケット」が発売された。反響は非常に良く、アッと言う間に売り切れてしまったことからも、「香港のガンダム人気恐るべし」といったところか。


◎「ガンダムEXPO」に潜入

今回潜入した「ガンダムEXPO」(2009年12月17日〜2010年1月3日まで。場所はホンハム駅メトロポリスモール)は今年で8回目を迎え、香港での「ガンダム」人気に支えられながら、毎年恒例のイベントとなっている。

潜入したのは開催初日。平日(木曜日)にも関わらず、開場時間の昼12時が近付く頃には多くのファンが集結していた。その多くは男性だったが、中には親子連れや若い女性の姿も。特にプラモデル販売エリアの「ガンダムEXPO」限定品コーナーには多くのファンが列をなしており、販売開始までの時間をウズウズしながら待っている人が多かった。

「ガンダムEXPO」の会場を巡るにあたり、今回は“海外ガンプラ伝道師”ことMasked BAKUC氏に帯同していただき、いろいろとお話をうかがった。BAKUCとは「バンダイ・アクション・キット・ユニバーサル・カップ」の略で、海外11か国で催されているガンプラ大会のこと。初めはアジア数か国で催される大会だったが、現在は欧米にも拡大している。そして、そのBAKUCを審査する大事な役目を担っているのが、謎のマスクマンMasked BAKUC氏というわけだ。



◎会場内の様子は?

まずゲートをくぐって会場に入ると、「フォトギャラリー」と書かれた大きなブースが目立つ。ここは今年の夏に日本のお台場で公開された全長18メートルの等身大ガンダムのフォトギャラリーとなっており、ファンは熱心に写真を見ていた。会場を訪れた多くのファンは、すでにネットなどで写真をチェックしていると思われるが、大きなパネル写真の迫力には圧倒されていたようだ。

また、ブースの奥に進むと「機動戦士ガンダムUC」のプラモデルとフォトギャラリーのブースに。「機動戦士ガンダムUC」は、日本では来春映像化されるが、まだ放映未定の香港でもファンの関心は高い。

フォトギャラリーブースから外に出ると、周りを囲むように、シリーズ別にプラモデルが展示されている。まず、フォトギャラリーブースに向かって右側通路には、香港でセカンドシーズンの放映を間近に控えた「機動戦士ガンダムOO」シリーズ。その横には三国志とコラボした「BB戦士 三国伝」シリーズがディスプレイされており、Masked BAKUC氏曰く「三国志ゆかりの国だけに、このシリーズは人気が高い」そうだ。ちなみに、「BB戦士 三国伝」の人気を後押ししているのは、同作品を連載している香港の少年マンガ誌「CO-CO!」だという。

「BB戦士 三国伝」の隣には香港版「HobbyJAPAN」のコーナー。こちらは2009年10月に創刊されたばかりの新しい雑誌で、日本版の翻訳記事以外にも香港版オリジナルコンテンツが掲載されるなど、読者の評判も上々のようだ。香港のプラモデルファンにとっては、早くも必読の雑誌となっている。

左側通路には、熱烈な「ガンダム」ファンであるJOEY LEUNG氏のコレクションブース。LEUNG氏は、香港でテレビ司会業や俳優業をこなすマルチタレントとして活動している。日本にも「ガンダム」好きを自認するタレントは多いが、ここ香港も例外ではないようだ。

彼のコレクションは富野由悠季氏のサインから始まり、連邦軍の制服、クリアケースに入れられた「RX-78-2ガンダム」、1980年代に発行された模型雑誌など実にさまざまで、Masked BAKUC氏によると「特に模型雑誌がレア」なのだとか。

JOEY LEUNG氏のコレクションブース脇には、「ガンダムEXPO」限定品のディスプレイケース。今回の限定品は会期期間中3期にわけて販売される。17日〜21日までの第1期には「MG RX-78-2ガンダム」のクリアバージョン、「HG ガンダムエクシアR2、Oガンダム」のクリアバージョンセット、「BB戦士ガンダムエクシアR2、Oガンダム」のクリアバージョンセットが販売された。香港のファンはここぞとばかりに写真撮影をしたり、何を買おうか吟味したりしているようだった。


◎大きな見どころ「BAKUC」決勝大会

フォトギャラリーブースの真後ろにはメインステージがあり、日によってコスプレショーやゲーム大会を開催。Masked BAKUC氏が本領を発揮する「BAKUC」決勝大会は12月26日に1日だけ開催され、世界11か国で予選を勝ち抜いたモデラーが、自慢の作品を持ち寄った。

大会は子どもの部、大人の部にわかれ、審査員は日本のバンダイ本社から派遣されるそうだ。毎年大会を審査しているMasked BAKUC氏によると「かなりハイレベルな大会」とのことで、日本との違いを聞くと「海外のほうが創造性に富んだ作品が多い」点を挙げてくれた。日本のモデラーは技術力がかなり高いものの、「オリジナリティよりも実物を忠実に再現することに注力」しているという。


◎「ガンダムEXPO」の目的

海外で「ガンダムEXPO」を開催する目的について、Masked BAKUC氏は「ガンダムブランドを広げる」「ガンダムの各種商品の良さを知ってもらう」ことを挙げ、「多くの人たちにガンダムに触れてもらい、ファン層を広めていきたい」と、抱負を語ってくれた。

実際、「ガンダムEXPO」はプラモデルやグッズの販促を兼ねているが、こうした努力の積み重ねによって、香港での売上げは年々伸びているそう。「ガンダムEXPO」を今後も続けていくことで、着実に海外のファン層も厚みを増していきそうだ。

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